2024年02月21日
サマリー
◆事業環境や雇用環境の変化を受け、「ジョブ型」人事制度への注目度の高まりを感じている。本稿では、「職能資格制度」「職務等級制度」「役割等級制度」の3つの等級制度について、それぞれの制度設計の特徴と導入事例を整理した。
◆国内で主流の人事制度である「職能資格制度」は、従業員の能力を基軸とした等級制度である。しばしば年功序列的な制度と誤解されるが、本来は実力主義の思想に基づく。従業員へ昇格機会を広く提供することが可能だが、人件費を抑制しにくい面もある。
◆欧米で主流の人事制度である「職務等級制度」は、組織上のポジションを基軸とした等級制度である。曖昧な理由による人材登用の排除、人件費管理のしやすさなどが期待でき、海外拠点を多く持つ会社や高度専門人材の処遇に適している。全社的な導入をする場合、従業員の昇格の機会が限定される側面もある。
◆「役割等級制度」は、従業員が担う役割を基軸とした等級制度である。職能資格制度と職務等級制度の双方の特徴を取り入れた制度であり、それぞれのメリットを享受しながらデメリットを軽減することが可能である。
◆3つの等級制度にはそれぞれメリット・デメリットがある。各制度の特徴を理解したうえで、自社が目指す方針を実現する制度を導入することが重要である。
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