今、期待される間接業務の最適化~効率化、品質向上、コスト削減の3つがカギ~

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  • マネジメントコンサルティング部 主任コンサルタント 柳澤 大貴

地球規模の景気後退により、企業活動は停滞しているかに見える。しかし、企業内における改革は日々着々と進んでいる。在庫削減、生産コストの圧縮に始まり生産プロセス全体の見直しは日本企業のお家芸である。加えて環境対応や省エネ対策など改革のテーマは事欠かない。今の苦境をどう乗り切るかはもちろん、更なる収益体質強化への一手は確実に深耕しているようだ。

生産現場あるいは販売の最前線における改革は可視化が容易である。一方で間接業務はどうなっているのであろうか。かつて『日本のホワイトカラーの生産性は欧米に比べて低い』、『複数の部門で重複した業務を行っている』などと揶揄されることも多かった。しかし、この10年で企業の経営統合をはじめ組織再編が加速的に進んだ。その過程で間接業務のあり方、業務遂行プロセスも大きく変化しているようだ。もはや間接業務のコスト削減は、『人件費が安い子会社への業務委託で対応』という単純な図式ではない。

ちょうどサブプライム問題の影響が顕在化し始めた2008年に、生産現場を中心としたコストダウンの新聞記事が連日のように賑わった。そこで大和総研においては間接業務の実態を知る目的で“間接業務に関する簡易アンケート調査”を独自に実施した。東証1部上場企業から連結従業員数の多い順に100社をリストアップして回答を依頼した。幸いにも2週間で56社という高い回答数を得ることができた(アンケート結果は、別途ファイルを参照)。

アンケート結果を分析して浮かび上がってきた事実は以下に集約される。
(1)既に間接業務のコスト削減はかなりのレベルで実現している。
(2)現在はコスト削減から業務品質の向上、業務処理スピードの向上に重点を移しつつある。
(3)今後は、人材の育成・活用・配置という視点も付加して最高の生産性を実現する。

明らかにテーマの中心はコストダウンから次の次元へとシフトしている。改革の本質は企業全体を俯瞰し、どの組織が業務を担えば高い生産性を発揮できるのか、そして最適な人材の配置はどうあるべきかを念頭に間接業務に関する制度設計を行うことではないだろうか。

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