2015年06月24日
2015年6月より「コーポレートガバナンス・コード」(以下、CGコード)が適用開始され、さらに定時総会の開催時期も重なり、コーポレートガバナンス体制の整備・取組状況を開示・公表するケースが増えてきている。本年のCGコード対応は、基本的には現状のガバナンスシステムに加え、短期的な対応が可能なものを盛り込んだ形になると思われる。一方、CGコードを遵守する方針ではあるが、会社内で一定期間の検討・議論を要するものについては、次年度以降の体制整備に向けて引き続き検討を進めていくことになろう。また、現在遵守している会社でも、さらなる「実効性」に向けて継続的な検討を行っていくのではないだろうか。
特に、具体的な取組が必要となる事項で、従前の対応からはあまり馴染みのないものは、イメージが湧きにくく、項目・方法等について各社内で研究している段階であるケースも多い。具体的なコードとしては、〔原則1-4〕の政策保有株式(毎年、取締役会で主要な政策保有につき、リターンとリスク等を踏まえた中長期的な経済合理性や将来の見通しを検証)や〔原則4-11③〕の取締役会評価(毎年、取締役会は各取締役の自己評価なども参考にしつつ、取締役会全体の実効性について分析・評価を行う)などがあげられる。これらは、各社の経営戦略や資本政策等および成長に向けた評価項目や具体的な方法の検討が必要となってくる。
本稿では、CGコードの主眼である「実効性」に関連して、取締役会の役割・実効性に焦点をおいた体系図(下表参照)をまとめてみた。体系図は、CGコードうち「取締役会」に関連するコードを抽出し、取締役会の役割・実効性を検討するための8つの視点(①役割・責務、②方針浸透、③ステークホルダー・開示関連、④構成、⑤仕組み・連携、⑥リスク把握・対応、⑦実効性評価・活性化、⑧経営陣・役員)に分けて図示している。各コードのつながりや流れ、各コードが関連し合っていること等がお分かりいただけるのではないだろうか。
取締役会の「実効性」を検討する上で強調したいのは、先ずは下表の①(役割・責務)における「会社の目指すところ(経営理念等)・経営戦略等」を起点・拠り所として位置付けることである。コードの各施策がこれに整合し、各コードが関連し合っていることを意識した設計を行うことで、会社の方向性・意志が理解しやすいものとなり、説明力が強まるものとなる。また、〔原則4-1〕にあるように、「取締役会は、会社の目指すところを確立し、戦略的な方向付けを行うこと」が主要な役割・責務という認識の下、これを行うための「取締役会構成」・「審議の活性化(付議基準、資料の事前送付)」「経営陣への委任」・「仕組み・連携」等の在り方を検討してくことが重要となる。
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