2014年06月05日
サマリー
◆社外取締役に関して、いわゆるComply or Explain(遵守せよ、さもなければ説明せよ)方式の制度が盛り込まれた会社法改正案が衆議院で可決された。また、本年5月に、日本版コーポレートガバナンス・コードの導入について自民党から政府への提言が行われた。早ければ来年6月株主総会シーズンまでに、日本において欧州並みのコーポレートガバナンス・コードが整備される可能性が出てきた。
◆会社法改正案や日本版コーポレートガバナンス・コードに関する提言に盛り込まれたComply or Explainルールは、英国のコーポレートガバナンス・コードの基本的な枠組みとして、20年以上運用されているルールであり、コーポレートガバナンスに関する制度のグローバルスタンダードとなっている。
◆英国のコーポレートガバナンス・コードは、あるべき企業統治の姿について抽象的なPrinciple(原則)と、その原則を達成するためにとるべきCode(規範)で構成されており、(1)原則の適用状況並びに(2)規範を遵守したか否か及び(3)不遵守の場合はその理由の説明を求めるものである。当該枠組みは、会社法改正案の参考となったとともに、今後の日本におけるコーポレートガバナンス・コード導入議論のベースとなるだろう。
◆日本版コーポレートガバナンス・コード導入は、アベノミクス第三の矢(成長戦略)の有力な政策候補のひとつであり、先に公開されたスチュワードシップ・コードと併せて、機関投資家の責任及び企業の責務が適切に果たされる環境の実現を目的としており、コーポレートガバナンスの充実により、日本企業の企業価値の向上及び持続的な成長を促すことが期待されている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年6月株主総会に向けた論点整理
活発なアクティビスト投資家。株主提案数は過去最多を更新
2025年05月29日
-
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
-
2024年6月株主総会シーズンの総括と示唆
機関投資家の議決権行使の同質化により議案賛成率は2極化
2024年10月09日