【雑感】ロンドン五輪が終わって ~SEA Gameでのソーシャルメディア活用に注目~

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8月12日、17日間にわたって開催されていたロンドン五輪が閉幕した。200を超える国や地域から参加した約1万人の選手により、連日繰り広げられた世界最高レベルの競技に、現地観戦やテレビ、インターネットを通じ、多くの人が興奮したことであろう。

ASEAN諸国からも10ヵ国計159名の選手が参加。メダルの数(9個:金0、銀4、銅5)は、前回の北京五輪(2008年12個:金3、銀6、銅3)や前々回のアテネ五輪(2004年12個:金4、銀2、銅6)から減少したが、卓球、バドミントン、ウェイトリフティング、テコンドーでの活躍が目立った。


図表1. ロンドン五輪の国別メダル獲得数と選手数
図表1. ロンドン五輪の国別メダル獲得数と選手数
(出所)ロンドン五輪HPより、大和総研作成


競技参加者やメダルの数だけをみてしまうと、ASEAN諸国のスポーツ熱は下がっているようにみえるが、それは誤解だろう。ロンドン五輪では159名の選手しか参加していないが、2年に1度開催されるSEA Gameは5,000~6,000人の選手が参加するほどの、熱いイベントである。SEA Gameとは東南アジア競技大会のことで(South East Asian Games)、ASEAN10ヵ国と東ティモールの計11ヵ国が参加する総合競技大会である。1959年に第1回大会がタイで開催され、第3回(1965年)以降は2年毎に行われている。

次回の第27回大会は、2013年にミャンマーの首都ネピドーで行われる。国内の競技インフラや宿泊施設が十分でないため、2011年のインドネシア大会(競技数:44、選手数:約6,000人)に比べて規模は小さくなる見込みだが、ミャンマーにとっては、1969年の第5回大会(当時はビルマ)以来の主催となるため、現地では大いに盛り上がるものと推察される。


図表2. 第26回SEA Game(東南アジア競技大会、インドネシア)の国別メダル数
図表2. 第26回SEA Game(東南アジア競技大会、インドネシア)の国別メダル数
(出所)各種資料より、大和総研作成


さて、今回のロンドン五輪では、従来のテレビ放映に加え、インターネットでのライブストリーミングや、Facebookやtwitter等のソーシャルメディアによって、視聴者にとって楽しみ方が広がった。大会公式スポンサーや各国オリンピック委員会は、それぞれ工夫を凝らしてユーザの関心を高めることに成功した。

ASEAN諸国は約6億人の人口を抱え、既にFacebookの利用者も1億人を超えるほどに浸透している。比較的所得水準の高いシンガポールやブルネイでは対人口比ユーザ数割合が50%を超え、ASEAN主要国であるインドネシア、フィリピン、タイ、マレーシアについても、ユーザ数は日本や韓国を上回っている。2013年のSEA Gameでは、今回のロンドン五輪以上に、ソーシャルメディアが活躍するイベントになるのではないだろうか。


図表3. Facebook利用者数(2012年7月)
図表3. Facebook利用者数(2012年7月)
(注)ユーザ数、人口の単位は万人
(出所)セレージャテクノロジー資料より、大和総研作成



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