IASB・FASBの金融商品会計検討の現状(2)

金融資産の減損、FASBが代替案検討へ

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2012年08月24日

  • 吉井 一洋

サマリー

◆IASB(国際会計基準審議会)と米国のFASB(財務会計基準審議会)は、共同で金融商品会計基準の見直しに取り組んできた。

◆金融資産の減損については、2009年11月にIASBが公開草案を公表したが、その後、IASBとFASBが共同で検討する中で、紆余曲折があり、現在は、3バケットアプローチという方法を検討している。

◆3バケットアプローチでは、当初は通常の金融資産としてバケット1に分類し、信用の質の悪化が生じた場合に、グループ単位で評価するバケット2、個別の金融資産ごとに評価するバケット3に分類し直す。バケット1では、今後12ヵ月に生じる損失事象に基づく将来の損失、バケット2、バケット3では全予想損失を計上する。

◆IASBとFASBは上記のアプローチを採用する方向で検討してきた。現在公表されている予定では、IASBとFASBは2012年第4Q(四半期)に新しい案を公表する予定である。しかし、2012年8月1日に、FASBは、バケット1とバケット2・3とを区分せず、全ての信用リスクを反映して減損処理をする代替案の検討をスタッフに指示した。FASBはその進捗状況を今秋の早い時期にIASBと共有することをコミットしている。

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