サマリー
◆日本経済成長の柱の一つである外需について、当面は回復の期待を持ち難くなっていることは、これまでも指摘してきた通りである。もっとも、外需による成長寄与の縮小は、今に始まった話ではない。2018年度を振り返っても、外需の寄与度はマイナスであった。外需がマイナスに転じる中でも全体の成長率が潜在成長率を若干下回る程度に着地できたのは、相対的に堅調だった内需が日本経済を支えたからに他ならない。
◆しかし、「外需が不調でも内需が成長を支える」というシナリオを2019年度に期待することはできない。端的に言って、2018年度の内需成長は、2017年度の企業業績が好調だった結果であり、言わば「前年度の貯金」だ。2017年度は内外需ともに好調となり、企業業績は最高益を更新した。この収益を原資として、2018年度の雇用・基本給・賞与の改善が進み、家計消費への追い風となった。同時に、労働需要の強まりと、稼働率の上昇の両方を背景として、2018年度は企業の設備投資も拡大した。
◆しかし翻って現在、上述のロジックを当てはめたアナロジーから導き出されるのは、「2019年度は内需の成長も難しい」という結論だ。2018年度の外需および企業業績の鈍化は、2019年度の家計消費および設備投資のモメンタムを鈍らせ始めている。雇用者報酬の構成要素を確認すると、雇用者数の増加速度は鈍化し、一人当たり労働時間は減少し、賞与も増加速度の明確な鈍化が見込まれている。そして今後の雇用・収入にかける期待の低下が消費マインドに冷や水を浴びせ、消費性向を抑制する公算が大きくなっている。さらに、10月以降は消費増税の影響が追い打ちをかける。
◆見通しが厳しくなるのは家計消費だけではない。内外需の不調と在庫蓄積を背景とした稼働率の低下は、設備投資の拡大シナリオにも影を落としている。結局のところ、タイムラグの問題を捨象すれば、現在の日本において外需の成長回帰を前提とせずに内需の回復シナリオを描くことは極めて困難だ。従来の見通しと同様、先行きの日本経済は、引き続き当面、減速を続けると予測している。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
主要国経済Outlook 2026年2月号(No.471)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2026年01月23日
-
日本経済見通し:2026年1月
2026~35年度における経済財政・金利・為替レートの中期見通し
2026年01月23日
-
世界経済の中期見通し
2026年01月22日
最新のレポート・コラム
-
直近のMBOによる株式非公開化トレンド
事例比較による公正性担保措置の実務ポイント
2026年01月27日
-
大和のセキュリティトークンナビ 第3回 不動産セキュリティトークンとは?(後半)
不動産セキュリティトークンの発行・流通動向、税制
2026年01月26日
-
大和のクリプトナビ No.6 暗号資産制度WG報告と今後の注目点
業界再編や自主規制機関の体制整備、オンラインでの適合性確保に向けた議論が注目点か
2026年01月26日
-
米国アセット・ウェルスマネジメント業界のダイナミズム
~変革を生み出すイノベーションとは~『大和総研調査季報』2026年新春号(Vol.61)掲載
2026年01月26日
-
消費税率の引き下げは本当に低所得世帯支援に最適な政策なのか
2026年01月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
-
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
-
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
-
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
中国によるレアアース・レアメタルの輸出規制は日本の実質GDPを1.3~3.2%下押し
供給制約により、自動車産業を中心に生産活動の低迷が懸念される
2025年12月05日
2026年の日本経済見通し
1%弱のプラス成長を見込むも外需下振れや円急落、金利高等に注意
2025年12月23日
生成AIが描く日本の職業の明暗とその対応策
~AIと職業情報を活用した独自のビッグデータ分析~『大和総研調査季報』2024年春季号(Vol.54)掲載
2024年04月25日
中国経済:2025年の回顧と2026年の見通し
不動産不況の継続と消費財購入補助金政策の反動で景気減速へ
2025年12月23日
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日

