サマリー
◆政治の季節が訪れている。日本においては衆議院選挙が焦点となってきたが、現時点の情勢調査では与党の優勢が伝えられており、消費増税の使途変更を除く当面の経済財政政策について大きな路線変更は想定されていない。
◆日本の衆議院選挙と前後して注目されるのが中国の共産党大会と米国FRB次期議長の指名だ。それぞれ「資金流出抑制の副作用としての人民元高と景気加速がいつまで続くか」、「雇用や物価といった経済変数のみに依存した政策運営ではなく、資産市場の過熱を抑制することをも目的とした金融政策路線が次期議長に継承されるか」が、今後の世界経済を見通す上で死活的に重要なテーマとなる。
◆先行きには各種の不透明性が残されているものの、実績としての世界経済は2017年に成長加速を実現している。成長加速の背景は①米国を中心とした在庫の回復・積み増し、②欧州を中心とした財政拡張(緊縮ペースの鈍化)、③共産党大会を控えた中国経済の加速などである。しかし、これらの好材料は総じて、2018年以降剥落に向かう公算が大きい。
◆世界経済と同様、日本経済にも期間限定の経済加速要因が働いてきた。一つは米国同様の在庫循環であり、もう一つは耐久財の買替え需要である。耐久財の買替え需要は現在の日本の経済成長率を加速させるドライバーとなると同時に耐久財以外の消費を抑制する要因となっている可能性が示唆される。裏返せば、この買替え需要が消失した後、経済成長率全体は減速する一方で相対的に耐久財以外の消費が回復に向かう可能性もまた、指摘されうる。
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