サマリー
◆2025年3月24日よりマイナンバーカードと運転免許証および運転経歴証明書の一体化が開始された。このように、クレデンシャル(特定の資格や権利を証明するための情報や証明書)のデジタル化を進めることで、デジタルサービスを利用した情報管理や本人確認、資格および権利証明等を可能とする取り組みは、近年急速に広がっている。
◆クレデンシャルのデジタル化が進む背景として、現在の一般的な手法(利用者が証明書等の画像ファイルやPDFファイルを作成し、デジタルサービス上に添付してアップロードする手法等)が、デジタル環境に適していないことが挙げられる。これらはデジタル技術のメリットを十分に活かしきれていない結果、①真正性(本物であること)の確認が困難、②プライバシーの懸念、③手続きの煩雑さ、といった課題が生じている。
◆デジタル化されたクレデンシャルを利用したサービスの実用化は既に始まっている。その一方で、クレデンシャルをさまざまなサービスで横断的に利用するために必要となる相互運用性については、まだ検討段階にある。そのため、クレデンシャルのデジタル化は過渡期にあるといえる。
◆このような状況下で、デジタル化されたクレデンシャルを利用したサービスを実際に利用することになった場合、利用者自身がクレデンシャルを提示する目的を正しく理解し、利用するサービスを選択する力を身につけることが重要となる。新しい技術やサービスを適切に理解し、目的に応じた選択を行うことで、デジタルに最適化したクレデンシャルの利便性と安全性を最大限に活用することができるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年8月機械受注
非製造業(船電除く)を中心に弱含み、政府は基調判断を下方修正
2025年10月16日
-
経済指標の要点(9/13~10/15発表統計)
2025年10月16日
-
25年度最低賃金改定の総括と今後の焦点
新政権では欧州型目標の導入など最低賃金政策の再考を
2025年10月14日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日