サマリー
◆男女の所得格差は、労働力という希少な資源の非効率な配分(TFPの低下)を示唆するだけでなく、女性の労働参加の意欲低減、家計所得の減少などにつながり日本経済全体に悪影響を及ぼす点にも問題がある。本レポートでは所得格差を「雇用格差、賃金格差、労働時間の格差」の3つの論点に分けて整理した。今後は各論点を深く掘り下げる分析を行っていく予定だ。
◆①雇用格差では主に、女性の就業率の低さや非正規雇用率の高さが問題となっている。②賃金格差は、キャリアの中断やより柔軟性の高い仕事に就く女性が多い可能性が背景にある。③労働時間の格差は、主に夫婦間における労働時間と家庭内労働時間のバランスに課題があると考えられる。
◆上記の“3つの格差”に大きく影響を与えているのが日本型雇用慣行である。長期的な視点から労働者の賃金と生産性の一致を図る仕組みであり、主に大企業の男性・正規労働者に適用されてきた。終身雇用、年功賃金、企業別の組合の3つが柱となり高度経済成長期を支えた制度だ。しかし、近年は女性の就業継続や賃金上昇を阻む壁になっている。
◆特に、出産・育児が離職や非正規転換、賃金の低下、労働時間の低下のきっかけになっている可能性があり、日本の男女の所得格差解消にはこうした点を踏まえる必要がありそうだ。
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