サマリー
◆2021年以降、半導体不足による自動車減産が日本経済を下押ししてきた。だが足元では、パソコンやスマートフォン等向けの半導体であるDRAMのスポット価格が明確に下落するなど一部の半導体の動向に変調の兆しが見られる。実際にマクロデータから半導体の需給を分析すると、供給は足元まで堅調に推移してきた一方で需要は2021年にピークアウトしており、在庫率を押し上げていたようだ。半導体を用いる製品の国内生産が盛り上がりに欠けることに加え、海外でも半導体の引き合いが弱まったことが要因とみられる。
◆もっとも、半導体需給の緩和は一部の製品に限られている。自動車向けの半導体需給は足元でも逼迫しており、減産の影響で先送りされた日本の家計の新車需要は2022年7月末で約69万台(金額では1.7兆円程度)と推計される。こうした中で「ブルウィップ効果」による一部の半導体の過剰発注が解消すれば、半導体の生産能力は車載用に向きやすくなるだろう。自動車向けの半導体不足は2022年秋から緩和し、2023年中に解消すると見込まれ、急速な自動車の挽回生産が国内景気を後押しするとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(5/20~6/17発表統計分)
2025年06月17日
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日