AIと検索数を用いた新型コロナウイルスによる品薄問題の分析

グループごとの政策対応が求められる

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2020年03月25日

サマリー

◆新型コロナウイルス感染拡大に伴い、様々な品目が品薄状態に陥っている。こうした需給の逼迫状態をより広範囲から捉え、政策当局などが対応を検討する上で役立つ情報を探るべく、様々なキーワードの検索件数の活用を検討した。しかし、個々の品目のデータの特徴を一瞥しただけで、直感的に理解するのは困難であろう。そこで、複雑な状況から本質的な構造を抽出すべく、データをいくつかのまとまりに分類した上で、それぞれのグループの特徴を把握しようとした。分類の際には、高い精度を確保しつつ、恣意性を可能な限り排除するためにAI(機械学習)を活用した。

◆その結果、①品切れが慢性的に発生している品目群、②品薄状態がより深刻な品目群、③一時的に需要が急増した品目群、④新型コロナウイルスの影響を比較的受けなかった品目群、と考えられる4グループに分類できた。政策当局には、①や②の商品群には、メーカーに向けた生産増の呼びかけ、③のような商品群には、発端がデマか否かを探り、前者の場合は人々やメーカー、小売店などに注意喚起を行うなどの対応が考えられる。他方、④に属する商品群に対しては、差し迫った対応をすべき必要性は低いだろう。

◆もちろん使用上の留意点はあるものの、AIと検索数データの組み合わせは、人々が食料品や日用品などを購入できない「不安の度合い」を品目レベルで可視化し、政策当局等がより迅速に適切な対応を行う上で強力なツールになり得ると期待できる。

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