サマリー
◆新型コロナウイルス感染拡大に伴い、様々な品目が品薄状態に陥っている。こうした需給の逼迫状態をより広範囲から捉え、政策当局などが対応を検討する上で役立つ情報を探るべく、様々なキーワードの検索件数の活用を検討した。しかし、個々の品目のデータの特徴を一瞥しただけで、直感的に理解するのは困難であろう。そこで、複雑な状況から本質的な構造を抽出すべく、データをいくつかのまとまりに分類した上で、それぞれのグループの特徴を把握しようとした。分類の際には、高い精度を確保しつつ、恣意性を可能な限り排除するためにAI(機械学習)を活用した。
◆その結果、①品切れが慢性的に発生している品目群、②品薄状態がより深刻な品目群、③一時的に需要が急増した品目群、④新型コロナウイルスの影響を比較的受けなかった品目群、と考えられる4グループに分類できた。政策当局には、①や②の商品群には、メーカーに向けた生産増の呼びかけ、③のような商品群には、発端がデマか否かを探り、前者の場合は人々やメーカー、小売店などに注意喚起を行うなどの対応が考えられる。他方、④に属する商品群に対しては、差し迫った対応をすべき必要性は低いだろう。
◆もちろん使用上の留意点はあるものの、AIと検索数データの組み合わせは、人々が食料品や日用品などを購入できない「不安の度合い」を品目レベルで可視化し、政策当局等がより迅速に適切な対応を行う上で強力なツールになり得ると期待できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日