2019,20年度の消費増税・関連対策の影響

消費増税対策の景気下支え効果は大きい半面、財政負担増に懸念

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2018年12月25日

  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司
  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 柿沼 英理子

サマリー

◆2019年度の政府予算案では、10月に予定される消費増税に備えるための2兆円規模の経済対策が盛り込まれた。この金額には住宅・自動車関連減税が含まれておらず、一部の施策は2020年4月以降も実施されるため、対策の総額は2兆円を大きく上回る。

◆消費増税対策の中で特に留意すべきなのは、キャッシュレス決済時のポイント還元である。仮に、中小小売店等でのキャッシュレス決済比率が30%まで上昇すると、ポイント還元額は0.8兆円程度に膨らむとみられる。景気刺激効果は大きいが、財政負担も大きい。また、ポイント還元策は需要平準化策の一つに位置付けられているものの、制度終了前後に駆け込み需要と反動減が発生して、景気の振幅がかえって大きくなる恐れがある点には注意が必要だ。

◆消費増税と関連対策が日本の経済財政に与える影響をマクロモデルで試算すると、2019年度における実質GDPと基礎的財政収支への影響はいずれもごくわずかである。2020年度の実質GDPは、何も実施されない場合のそれを0.2%程度下回る。消費税収の増加等によって歳入が増加するものの、消費増税対策等で歳出も膨らむことで、2020年度の基礎的財政収支はGDP比で0.2%pt程度の改善にとどまる。

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