サマリー
◆2019年度の政府予算案では、10月に予定される消費増税に備えるための2兆円規模の経済対策が盛り込まれた。この金額には住宅・自動車関連減税が含まれておらず、一部の施策は2020年4月以降も実施されるため、対策の総額は2兆円を大きく上回る。
◆消費増税対策の中で特に留意すべきなのは、キャッシュレス決済時のポイント還元である。仮に、中小小売店等でのキャッシュレス決済比率が30%まで上昇すると、ポイント還元額は0.8兆円程度に膨らむとみられる。景気刺激効果は大きいが、財政負担も大きい。また、ポイント還元策は需要平準化策の一つに位置付けられているものの、制度終了前後に駆け込み需要と反動減が発生して、景気の振幅がかえって大きくなる恐れがある点には注意が必要だ。
◆消費増税と関連対策が日本の経済財政に与える影響をマクロモデルで試算すると、2019年度における実質GDPと基礎的財政収支への影響はいずれもごくわずかである。2020年度の実質GDPは、何も実施されない場合のそれを0.2%程度下回る。消費税収の増加等によって歳入が増加するものの、消費増税対策等で歳出も膨らむことで、2020年度の基礎的財政収支はGDP比で0.2%pt程度の改善にとどまる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日