サマリー
◆【概況】生産は市場コンセンサスを上回る:2011年10月の鉱工業指数は、生産が緩やかな回復基調に復したことを示す内容となった。10月の生産指数は前月比+2.4%と2ヶ月振りのプラスとなり、市場コンセンサスも大きく上回った。最近の鉱工業生産のデータは、季節パターンの歪みという統計上の問題によって振れやすくなっている点には留意が必要であるが、それを割り引いても生産はまずまずの結果であったと評価できる。
◆【業種別の動向】輸送機械が牽引:10月の生産を業種別にみると、速報値が公表されている16業種中12業種の生産が拡大した(9月は全業種がマイナス)。増加を牽引したのは「輸送機械」である。「輸送機械」は前月比+11.6%と2ヶ月振りの大幅なプラスとなり全体を押し上げた。他方、悪化した業種では、「電子部品・デバイス」、「情報通信機械」の低下幅が目立つ。
◆【今後の見通し】生産は短期的に横ばい圏:海外経済の減速や復興需要の後ずれに加えて、10月にタイで発生した大洪水の影響を背景に、生産は短期的に横ばい圏での推移になると見込む。当社は、タイの大洪水による生産下振れは自然災害という一過性のショックによるものにすぎず、生産の最大のリスク要因は海外経済の減速に伴う工業製品の需要鈍化であると考えている。タイの洪水の影響が収束するまでに数ヶ月程度の期間を要するとみられるが、自動車メーカーの国内工場の稼働率がほぼ通常レベルまで回復している現状を踏まえると、国内生産への影響はさほど深刻なものとはならないと想定している。
◆【製造業の売上動向】7-9月期は改善する公算:鉱工業生産指数と企業物価指数の動向から判断すると、製造業の7-9月期の売上高は改善に向かう公算が大きい。ただし、先行きについては、生産が踊り場的な局面になると想定していることから、回復ペースは緩慢なものに留まると見込む。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
-
2025年11月全国消費者物価
エネルギー価格の伸び率拡大を食料品価格などの伸び率鈍化が相殺
2025年12月19日
-
高市政権の財政政策は更なる円安を招くのか
財政支出の拡大ショックは翌年の円安に繋がる
2025年12月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

