科学技術創造立国と未来への投資

『大和総研調査季報』 2011年春季号(Vol.2)掲載

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2011年05月02日

  • 岡野 武志

サマリー

1995年の科学技術基本法制定以来、3期15年間を経た科学技術基本計画は、2011年度から第4期を迎える。第3期までの基本計画では、科学技術の振興によって経済や社会の発展を促し、重要課題を解決する取り組みが進められてきた。しかし、全体としては、製品開発を重視する民間企業が主導する傾向が強く、多様な基礎研究の成果が成長産業創出につながらない面も見られた。基礎研究から産業化までの段階に資金面での断層があり、人材や経営ノウハウも不足していた。

イノベーションの可能性を持つ基礎研究を成長産業に育てるためには、初期段階から資金、人材、経営ノウハウを提供することが重要であり、リスク低減の観点からも有効と考えられる。そのためには、目利きの育成や不正行為の防止策によって信頼を高め、研究開発ベンチャーに対するハンズオン型投資を活性化させることが望まれる。また、研究開発に対する投資の社会貢献的性質を重視した投資促進税制を整備し、広く国民の参加を促すことも重要になる。国民の多くは科学技術振興の重要性を認識しており、投資環境を整備して投資の意義を伝えれば、未来への投資に動き出す可能性がある。未来のために意識改革が求められている。

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