サマリー
1995年の科学技術基本法制定以来、3期15年間を経た科学技術基本計画は、2011年度から第4期を迎える。第3期までの基本計画では、科学技術の振興によって経済や社会の発展を促し、重要課題を解決する取り組みが進められてきた。しかし、全体としては、製品開発を重視する民間企業が主導する傾向が強く、多様な基礎研究の成果が成長産業創出につながらない面も見られた。基礎研究から産業化までの段階に資金面での断層があり、人材や経営ノウハウも不足していた。
イノベーションの可能性を持つ基礎研究を成長産業に育てるためには、初期段階から資金、人材、経営ノウハウを提供することが重要であり、リスク低減の観点からも有効と考えられる。そのためには、目利きの育成や不正行為の防止策によって信頼を高め、研究開発ベンチャーに対するハンズオン型投資を活性化させることが望まれる。また、研究開発に対する投資の社会貢献的性質を重視した投資促進税制を整備し、広く国民の参加を促すことも重要になる。国民の多くは科学技術振興の重要性を認識しており、投資環境を整備して投資の意義を伝えれば、未来への投資に動き出す可能性がある。未来のために意識改革が求められている。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日