コロナ禍での外食企業の資本性資金の調達

成長投資より財務改善への充当が目立つ

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サマリー

◆2021年は前年に比べて外食サービス企業(以下、外食企業)による資本性資金の調達件数が大幅に増えている。新型コロナウイルス発生から暫くは借入等で資金繰りを賄っていたが、運転資金や借入返済への充当の必要性が増した企業が増えたためである。

◆上場外食企業の業績は時短協力金や雇用調整助成金等の政府補助金の効果で改善しているものの、これらの効果を除けば依然として営業赤字が続いている。規模の小さい企業、財務状態の悪化が進む企業を中心に、資本性資金で財務基盤の拡充が図られよう。

◆これまでの外食企業の資金調達事例は、今後、外食を含む対面型サービス企業全般が資金調達を判断する際の参考となり得る。中でも、①新株予約権の影響を抑える安定株主(第三者割当の候補先)の構築、②政府系金融機関による支援策(優先株式、劣後ローン)の活用は、資金計画段階で検討・対応すべき項目と注目される。

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