2021年10月21日
サマリー
日本においてICO(イニシャル・コイン・オファリング)で発行されるトークンに対する法規制が整備され、ブロックチェーンを活用したデジタル証券(セキュリティトークン=ST)が発行されてきている。大手の金融機関だけではなく、発行体としての不動産会社、インフラプレーヤーとしてのFinTech 企業、大手のITベンダー、デジタル証券専業の資産運用会社を立ち上げる大手総合商社等、デジタル証券が生み出す新たなフロンティアの可能性を模索しつつも、中長期の将来を見据えた戦略的な取り組みが本格化している。
デジタル証券が生み出すフロンティアとは、“ 新たな仕組み” と“ 新たな商品” である。新たな仕組みとは、既存の証券会社と取引所を“ 介した”有価証券の発行・流通の仕組みのDXである。そのDXを牽引していく動きとしては、資金調達者の有価証券発行・流通コストを削減するために、大手金融機関との連携を含むFinTech 企業がブロックチェーンを活用した仕組みを構築して証券会社が担う様々な機能を代替していく取り組みが挙げられる。新たな商品とは、これまでの機関投資家向けの大口の証券化が小口にして証券化できるようになることで、新たな個人向けの商品が組成されることである。本稿では各業界の取り組みを踏まえて、その可能性を探っていく。
大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
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