「郵政民営化法改正案」の課題

郵政民営化委員会の「意見書」からみえる「郵政民営化法改正案」の課題

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  • 島津 洋隆

サマリー

◆3月30日、民自公の3党の議員立法により「郵政民営化法等の一部を改正する等の法律案」(いわゆる「郵政民営化法改正案」。以下、改正案)が国会に提出された。同法案は、3月22日、自公両党の政務調査会長の合意に基づくものであり、民主党もこれを受諾したことにより策定された。改正案の主なポイントは、日本郵政グループを現行の5社体制から4社体制にすることである。また、最大のテーマであるゆうちょ銀行とかんぽ生命保険(以下、金融2社)の株式の売却については、全株式の売却期限なしの努力規定に緩和されることとなっている。

◆改正案の国会提出に先立ち、2012年3月7日に郵政民営化委員会(以下、委員会)が「郵政民営化の進捗状況についての総合的な見直しに関する郵政民営化委員会の意見の報告」(以下、意見書)を公表した。委員会は、郵政民営化法に基づく機関であり、同法第19条1項1号により郵政民営化の進捗状況について総合的な見直しに基づき本部長(内閣総理大臣)に意見を述べる役割を有している。委員会の取りまとめた意見書は、現状の郵政事業の在り方について厳しい評価を下している。また、同意見書と改正案との間には大きな考え方の隔たりあることが窺える。

◆今回の意見書を取りまとめた現任の郵政民営化委員は、今年3月で任期満了となるが、当該委員が再任されるのかどうかは現在のところ未定である。改正案は今国会会期中に成立するとみられている。

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