未利用エネルギー
2013年07月11日
未利用エネルギーとは、工場などからの排熱エネルギー、下水や河川などの温度差エネルギー、廃棄物エネルギーなど、これまであまり利用されていなかったエネルギーの総称である(図表1)。例えば、清掃工場のごみ焼却の際に出る排熱を使って蒸気・温水・冷水などを作ることができる。これらを使うことで空調や給湯などのエネルギー消費を減らすことができるため、省エネルギー(省エネ)に分類される。
図表1 主な未利用エネルギー

(出所)資源エネルギー庁 「未利用エネルギーの面的活用」を基に大和総研作成
排熱を出す施設自身の省エネに利用するほか、地域の地区・街区というような範囲に蒸気・温水・冷水という形で熱供給することもある。これを「面的利用」といい、個別のビルで設備を持つよりも、より省エネになるというメリットがある。図表2にあるように、オフィスビルや商業施設などでは、熱源(冷凍機、冷却水ポンプなど)、熱搬送(冷温水2次ポンプ、空調機など)、給湯・調理(ボイラなど)など、熱エネルギーを利用する割合が少なくないため、未利用エネルギーによる熱供給は「省エネ」として有効な手段となる。

(注2)オフィスビルにはない
(注3)82,000㎡
(注4)58,000㎡
(出所)一般社団法人 省エネルギーセンター 「ビルの省エネルギー」を基に大和総研作成
地下水や地中と地上の温度差を利用する方法もある。地下水や地中の温度は、季節や昼夜にかかわらず1年を通して安定している。このことから、地上に比べると夏は涼しく、冬は暖かいという温度差が生まれる。この温度差を「熱交換器」や「ヒートポンプ」という仕組みを使って、冷房や暖房に利用する(図表3)。冷暖房にかかるエネルギー消費を減らすことができるため、省エネと位置付けられる。

(出所)大和総研作成
(2013年7月11日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2012年07月13日
緊急の節電所にデマンドレスポンス、長期的な節電所に未利用エネルギー活用を
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月26日
銀行等の業務範囲・5%ルールなどの見直し
銀行制度等WG報告
-
2021年01月25日
2021年のASEAN5経済見通し
景気回復は年後半に加速。懸念が多いタイとフィリピン。
-
2021年01月25日
税金読本(16-2)税務署への財産債務の申告と国外転出時みなし譲渡益課税
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月27日
多様性を受容する社会は、きっと創造的で成長性の高いものになる
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く