男女共同参画社会基本法

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2013年01月30日

  • 伊藤 正晴

男女共同参画社会の実現を促進するため、1999年(平成11年)6月に施行された法律。男女共同参画社会を「男女が、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会」と定義し、これを実現するための基本となる事項を定めている。


内容は、前文と28条からなる3つの章で構成されており、前文で「男女共同参画社会の実現を二十一世紀の我が国社会を決定する最重要課題」と位置付けており、男女共同参画社会の形成についての基本理念を明らかにし、男女共同参画社会の形成に関する取り組みを総合的かつ計画的に推進することが記されている。


「第一章 総則」では、男女共同参画社会の形成における次の5つの基本理念が定められている。


・男女の人権の尊重
・社会における制度又は慣行についての配慮
・政策等の立案及び決定への共同参画
・家庭生活における活動と他の活動の両立
・国際的協調


国はこれらの基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を策定し、実施する責務を有することが定められ、この施策には積極的改善措置を含むことが記されている。また、地方公共団体、国民それぞれの責務などについても定められている。


「第二章 男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的施策」では、政府は男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な計画である「男女共同参画基本計画」を定めなければならないとされており、都道府県はこの基本計画を勘案して、当該都道府県の区域内における基本的な計画(都道府県男女共同参画計画)を定めなければならないとされている。市町村は、当該市町村の区域における基本的な計画(市町村男女共同参画計画)を定めるように努めなければならないとされている。


さらに、国や地方公共団体は、基本理念に関する国民の理解を深めるための措置を講じなければならないこと、国は男女共同社会の形成の促進に関する施策等についての苦情の処理や性別による差別的取り扱いなどによる被害者の救済などの措置を講じなければならないことなどが定められている。また、国は男女共同参画社会の形成に関する調査研究を推進すること、国際的協調のための措置を講ずること、地方公共団体や民間の団体を支援することなどに努めることが定められている。


「第三章 男女共同参画会議」では、内閣府に男女共同参画会議を置くことや、その会議の所掌事務や組織などについて定められている。男女共同参画会議は、重要政策に関する会議のひとつとして位置付けられ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、基本的な政策及び重要事項を調査審議することなどを所掌している。


[参考資料]

内閣府男女共同参画局のWebページに、男女共同参画に関する法律・計画、推進体制・会議、地方との連携、啓発活動、公表資料などの情報が掲載されている。


(2013年1月30日掲載)

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