AOSIS(Alliance of Small Island States、小島嶼国連合)は、1990年に設立された44の小島嶼国・地域(内、オブザーバー4地域)(図表1)が加盟する連合である。小さな島や低地の海岸で国土が構成される小島嶼国は、地球温暖化による気候変動を原因とする海面上昇や暴風、高潮などの異常気象に対して脆弱で、少人口や遠隔性など固有の問題を抱える特徴がみられる。
そこで、これらの異常気象の発生を回避するために、世界年平均気温の上昇を1.5℃(1980~1999年との比較)以下に抑える“1.5 to Stay Alive”の実現に向けて連合を組み、気候変動問題に対する情報収集や分析および国際社会への提言等を行っている。国連と世界気象機関(WMO:World Meteorological Organization)の報告書では、世界年平均気温が1.5℃上昇すると、極地陸域の氷床の部分的な減少で海面水位が数メートル上昇し、浸水、高潮、浸食、その他の沿岸地帯の災害が悪化すると予想され、このため重要なインフラや居住地、施設など、小島嶼の地域社会を支える基盤が脅威を受ける、とされている(※1)。
最近の動きとしては、国連気候変動枠組条約第18回締約国会議(COP18、2012年)で先進国等に対して、2020年までの排出削減目標を引き上げることや、森林伐採の中止などによる緩和策の推進、気候変動の悪影響に伴う損失と被害に対する復旧や補償に取り組むための新たな制度(国際メカニズム)の設立などを要求している。
(※1)環境省ウェブサイト:気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書統合報告書に対する第2作業部会の報告 政策決定者向け要約(和訳)
(2013年1月30日掲載)
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