1970年11月に開かれた臨時国会(第64回国会)は、公害問題について集中的な討議が行われたことから「公害国会」と呼ばれており、この国会では公害対策等に関連する以下の14の法律が制定された(※1)。

急速な経済成長に伴って、1960年代には産業公害が深刻な社会問題となっており、「公害対策基本法」(1967年)や大気汚染防止法(1968年)が制定されるなど、公害対策や公害関係法制の整備も順次進められていた。しかし、環境保全より経済発展を重視する考え方も未だ根強く、公害関係法の中には、経済の発展との調和を求める、いわゆる「経済調和条項」(※2)が盛り込まれているものもあり、公害問題の深刻化を止めることはできなかった。
公害問題の深刻化や多様化が進む中、経済調和条項等に関する国民からの批判も強く、1970年7月に内閣に公害対策本部が設置され、公害関係法制の整備が積極的に進められた。その結果、環境保護を重視する考え方が明確になり、上記14の公害関係の法律が成立するとともに、経済調和条項はすべて削除された。この国会で成立した法律には、直罰規定(※3)が盛り込まれたものあり、都道府県による上乗せ基準も許容されている。また、「人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律」では、公害犯罪という新たな考え方が導入され、事業活動に伴って人の健康に係る公害を生じさせる行為等は処罰されることとなった。
この国会に続く第65回国会でも、公害関係法の整備が進められており、悪臭防止法等の公害関連の3法案が成立するとともに、「環境庁設置法」も制定されている。
(※1)「第64回国会 制定法律の一覧」衆議院
(※2)「公害対策基本法」第2条第2項は、「前項に規定する生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにするものとする」と規定していた。この法律は、1993年の環境基本法制定に伴って廃止されている。
(※3)違反者に対して直ちに懲役や罰金などの罰則が適用される規定。
(2012年10月1日掲載)
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