環境基本法第15条の規定に基づき、環境の保全に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るために定められた基本計画。環境大臣が中央環境審議会の意見を聴いて、環境基本計画案を作成し、閣議決定を経て公表することになっている。環境基本法が制定された翌年の1994年に第1次基本計画が定められた後、6年程度の間隔で見直しが行われ、現在は2012年4月に閣議決定された第4次基本計画に基づいて、各種の施策が進められている(※1)。
第4次基本計画では、エネルギー、資源、食料の持続可能な利用の下で環境、経済、社会を統合的に向上させるために、再生可能エネルギーの導入拡大と省エネルギーを推進することや、経済社会を持続可能なものにするために、国際的な枠組みづくりや国家間の環境協力等を進めていくことなどを主な政策課題と捉えている。そして、目指すべき持続可能な社会の姿について、人の健康や生態系に対するリスクが低減され、安全が確保されることを前提として、「低炭素」「循環」「自然共生」の各分野が統合的に達成され、健全で恵み豊かな環境が地球規模から身近な地域にわたって保全される社会と認識している。
持続可能な社会を実現する上で重視すべき方向としては、以下の四つの考え方が示されている。
(1)政策領域の統合による持続可能な社会の構築
(2)国際情勢に的確に対応した戦略をもった取組の強化
(3)持続可能な社会の基盤となる国土・自然の維持・形成
(4)地域をはじめ様々な場における多様な主体による行動と参画・協働の推進
また、環境政策を展開していく上で、優先的に取り組むべき重点分野として、以下の9分野が挙げられている。
[1]経済・社会のグリーン化とグリーン・イノベーションの推進
[2]国際情勢に的確に対応した戦略的取組の推進
[3]持続可能な社会を実現するための地域づくり・人づくり、基盤整備の推進
[4]地球温暖化に関する取組
[5]生物多様性の保全及び持続可能な利用に関する取組
[6]物質循環の確保と循環型社会の構築
[7]水環境保全に関する取組
[8]大気環境保全に関する取組
[9]包括的な化学物質対策の確立と推進のための取組
なお、東日本大震災の影響等も踏まえて策定された第4次基本計画では、「東日本大震災からの復旧・復興に際して環境の面から配慮すべき事項」と「放射性物質による環境汚染からの回復等」の内容も盛り込まれている。
(※1)「環境基本計画」環境省
(2012年9月6日掲載)
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