ISO 26000は、2010年11月1日にISO(国際標準化機構)(※1)により発行された国際規格「Guidance on social responsibility(社会的責任に関する手引き)」である。組織の持続的な開発への貢献を支援することを意図したガイダンス(手引書)であり、企業にとどまらず、政府・学校・NGO等、多様な「組織」を対象としている。
ISO 26000は、先進国、途上国取り混ぜて90を超える国、40を超える国際機関等から、政府、企業、労働者、消費者、NGO、有識者というさまざまなステークホルダーによって開発された。
昨今のグローバル化の進展は、資源・エネルギー・食料等の需給逼迫、環境問題、人権問題、貧富の差の拡大等、人類社会の持続可能性を脅かす諸課題を顕在化・加速化させている。組織は社会的・経済的・地理的状況を問わず、こうした課題を発生させる立場にも課題の影響を受ける立場にもなる。ISO 26000の開発にあたっては、中国・インド・ブラジル等アジア・中南米の新興国や世界中の途上国の意見も反映された。新興国・途上国がISO 26000の開発や導入に積極的な理由には、先進国の企業等がこれらの国でビジネスを行う際に環境破壊や児童労働といった問題を起こさせないため(先進国の影響力はサプライチェーン、バリューチェーンまで及ぶとする考え)、世界共通のルールでビジネスの効率化を図るため(複数の取引先から、別々のルールを提示される非効率の解消)、自国の法律や規格の整備の参考にするため、等がある。
ISO 26000では、7つの原則として「説明責任」「透明性」「倫理的な行動」「ステークホルダーの利害の尊重」「法の支配の尊重」「国際行動規範の尊重」「人権の尊重」を挙げ、これらを行動規範として尊重することを組織に求めている。さらに7つの中核主題「組織統治」「人権」「労働慣行」「環境」「公正な事業慣行」「消費者課題」「コミュニティへの参画及びコミュニティの発展」と関連する課題や具体的なアクションプランを挙げ、社会的責任の理解や組織への統合、信頼性やパフォーマンスの向上等、実践していくうえで参考となることを意図している。
ISOと言えば、ISO 14001(環境マネジメントシステム)やISO 9001(品質マネジメントシステム)等のマネジメントの認証システムが有名であるが、ISO 26000は、こうした認証を目的とした規格ではない。組織は多様な文化的・歴史的な背景を持つため、画一的な基準で「社会的責任」を定義することが困難である。そのためISO 26000は、各組織が主体性を持って社会的責任を定義し推進するための、ベースとなるガイダンスとして開発されたのである。
【参考文献】
・(財)日本規格協会訳「ISO 26000を理解する(2010年11月)」[283.08KB]
・(社)日本経済団体連合会 「解説 ISO26000~社会的責任に関する国際規格」
(※1)International Organization for Standardization 「各国の代表的標準化機関から成る国際標準化機関で、電気及び電子技術分野を除く全産業分野(鉱工業、農業、医薬品等)に関する国際規格の作成を行っています。」 日本工業標準調査会「ISO」
(2011年7月15日掲載)
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