企業が注意を払うべき人的リスクの存在

雇用の側面から見た、企業のリスクマネジメントに求められる視点

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2019年09月25日

  • 菅原 佑香

サマリー

◆企業経営が直面するリスクは多様化している。事業機会や事業活動の遂行に関するリスクをコントロールできなければ、事業継続や経営上の困難に見舞われる可能性が高い。本稿では、ビジネスリスクの要因について人的リスクの側面から検討した。

◆企業がマネジメント対象とするリスクの最上位には、「地震・風水害等、災害の発生」がきており、「法令遵守違反」や「情報漏えい」と続く。ビジネスリスクを引き起こす要因の1つに人的リスクの影響がある。事業活動の遂行を担うのは広い意味での「人材」であることから、人的リスクが起因となる課題は少なくない。

◆企業が配慮すべき人的リスクの視点は、第一に、多様な人材が多様な働き方を選択する時代において、企業の雇用管理のあり方が大きく変化していることである。第二に、ハラスメントの規制強化に伴い、対応を誤れば訴訟やレピュテーションリスクに発展しかねないことである。第三に、グローバルなサプライチェーンにおける人権リスクの存在もある。これら人的リスクに対する企業の認識や対応は、リスクの抑制になるだけでなく、企業価値向上へつながる経営を行う鍵にもなるだろう。

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