ESG投資

~倫理としてのSRIから企業価値評価の手段として~『大和総研調査季報』 2014年春季号(Vol.14)掲載

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2014年06月02日

  • 河口 真理子

サマリー

環境や社会的な取り組みを投資の判断基準に加えたESG投資の世界市場は2012年で13.6兆ドル、運用金融資産の22%に上っている。市場拡大を支えているのは主に欧米の公的年金である。彼らは、気候変動などの地球環境問題の深刻化などから、投資の際に企業の財務的側面に加えて環境や労働人権などの取り組みを考慮することは、より精緻な企業評価につながるからとしている。ただ従来は、環境や社会性の情報(ESG情報)の入手は困難で、さらに入手できたとしてもその評価の仕方が分からなかった。しかし、最近では金融情報プロバイダーがESG情報発信を積極化させ、企業価値に結び付けるノウハウも蓄積されてきた。また2013年末には環境社会情報と財務情報を経営戦略の面から統合して報告する統合報告のフレームワークも公表され、ESG情報と評価手法の充実が期待される。


なおESG投資は年金だけでなく、個人投資家との親和性も高いと考える。被災地応援ファンドの人気をみても、「世のため人のため」になる企業に共感し応援したいと考える人は日本には多い。NISA向けにもESG投資は有望と考えられる。


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