2013年04月19日
サマリー
◆マーケットサマリー(2013/3/22~2013/4/18)
欧州議会が“排出枠の後積み案”を否決、全価格が大幅に下落
◆関連トピック
■試練にさらされるEU ETS
4月16日の欧州議会で、EU ETSの市場価格を下支えするために、オークション(排出枠の有償割り当て)の実施時期を調整する“排出枠の後積み案(backloading proposal)”の採決が行われた。ポーランドを筆頭とする東側加盟国の反対票に加えて、イギリスとイタリアの議員の多くが自国の政府表明とは異なる反対票を投じたことや、スペインとポルトガルの議員から多くの棄権が出たことなどから、同案は19票(賛成315票、反対334票、棄権63票)の僅差で否決された。これを受けて、同日の取引価格は記録的な大幅安となり、関連する石油や石炭、ガス等のエネルギー価格にも影響を及ぼした。
■地球温暖化対策推進法の一部改正案が衆議院を通過
内閣は「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」(温対法改正案)を今国会(第183国会)に提出した(3月15日)。温対法改正案は、2013年度以降の地球温暖化対策計画の策定を規定し、地球温暖化対策に総合的かつ計画的に取り組むためのものである。温対法改正案は、空白期間をできるだけ短くし、足元から地球温暖化対策が行えるように法的な根拠を与えるためのものである。つなぎ法案であるとか、削減目標が入っていないなどの批判があるが、エネルギー基本計画が見直されている中では致し方ない内容ともいえよう。温対法改正案は4月4日に衆議院で修正決議され、現在、参議院で審議中である。
■政府の京都メカニズムクレジット取得事業
経済産業省及び環境省は、京都議定書に基づく温室効果ガス削減目標を達成するため、2006年度から京都メカニズムを活用したクレジットの取得事業を、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)に委託して実施している。政府は、最近公表した「京都議定書目標達成計画の進捗状況」の中で、温室効果ガスの排出状況と京都メカニズムの活用及び森林吸収源対策等の実績を踏まえて、京都議定書の目標は達成可能と見込んでいる。このことから、日本が京都議定書の第1約束期間の調整期間(2013年~2015年後半)に新たにクレジットを取得する必要はなくなったといえよう。京都議定書第2約束期間には参加しないため、達成すべき目標そのものがないことになる。
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