2012年02月17日
サマリー
2月7日、世界風力発電協会(GWEC)が2011年の風力発電導入量速報値を発表した(※1)。同協会は各国の風力発電協会を束ねる業界団体で、毎年2~3月に前年の世界の風力発電導入状況をまとめた年報を発表している。今回の速報は、年報の前段階となるリリースである。
同発表によれば、2011年の世界の風力発電の年間導入量は前年比+6%で41GWとなり、過去最高を更新した(図表)。年間導入量が多かった国は(1)中国(18GW)、(2)米国(7GW)、(3)インド(3GW)。風力発電の年間導入量シェアでは2006年まではドイツやスペインなど欧州勢が最多であったが、2007年に中国と米国が欧州勢を抜き、以降拡大を続けている。京都議定書の下での温暖化対策には消極的な中国と米国が風力への投資を進めている背景には、環境保全の観点というよりも、エネルギー安全保障の観点からの国産エネルギーである風力への期待が窺える。
なお、中国の2011年の年間導入量は世界最大の18GWで、三年連続で他国を引き離してトップであった。ただし、2002年以来継続して導入量を伸ばしてきた中国だが、2011年の導入量は前年比▲5%となり、減少に転じた模様だ。短期的には風力発電の設置に送電線敷設が追いついていないという系統連系上の問題と、金融引き締めの影響と見られるが、中期的には2010年までのような、前年比30%超の伸びを続けた拡大期は終わったのかもしれない。同国の国家エネルギー局は昨年12月、第十二次五カ年計画の一環として風力発電の新しい導入目標を発表したが(2015年に100GW)(※2)、この目標は2012年以降、2015年まで平均年間10GWを導入すれば達成可能だからだ。
また、2011年に世界2位であった米国では、国産エネルギーであるシェールガスへの期待が高まり、風力発電の導入量は2009年の10GWをピークに、2010年以降5~7GWで推移している。2012年は世界の導入量の大幅な増加は見込めなさそうだ。
翻って、わが国の2011年の風力発電導入量は0.2GWで、中国の導入量の1%に満たない(※3)。来年度からの全量固定価格買取制度(Feed-in Tariff: FIT)の導入を控え、2010年度より風力発電への設置補助金がストップし、導入量が落ち込んでいるという事情がある。ただし、本年7月からは再生可能エネルギー特別措置法に基づきFITがスタートするほか、ボトルネックとなってきた系統連系対策についても、東京電力と東北電力・北海道電力間の電力融通により連系可能量を増やす試みがスタートしたところだ(※4)。FITの制度設計の議論は当初の予定より遅れているが(※5)、FIT導入を機に、エネルギー安全保障の観点から風力資源の活用が進むことを期待したい。
図表 世界の風力発電の年間導入量(左軸)と累積導入量(右軸)

(出所)GWEC資料より大和総研作成
(※1)Global Wind Energy Council (2012.2.7) “Global Wind Statistics 2011.”
(※2)「「第12次5カ年計画」期間の非化石エネルギーの開発総量=4.8億トン標準石炭」(新華社、12月16日)
(※3) 日本の2011年の年間導入量は166MW。日本風力発電協会(2012.1.10)「2011年末風力発電導入実績:250.1万kW、1,832基」より。
(※4)「北海道地域内、東北地域内における風力発電導入拡大に向けた実証試験の実施および風力発電事業者の募集について~既設地域間連系線の活用と風力発電出力制御技術の組み合わせによる風力発電の導入拡大~」(東北電力、2011年9月30日)
(※5)昨年再生可能エネルギー特措法の審議過程では、海江田経済産業省大臣(当時)から今年初めから調達価格等算定委員会を開催するとの答弁があった。2012年2月14日現在、同委員会はまだ設置されていない。
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