2011年06月24日
サマリー
図表1:中国の第11次5カ年計画における環境分野の目標と実績

(※1)拘束性指標とは達成に向けて政府や行政各部門が達成義務を負う指標であり、所期性指標とは達成目標に近い指標であり、主に市場主体の行為を通じて実現されることが期待される指標である。
(※2)「目標」、「達成状況」での増減率は2005年比の値を示す。
(※3)水源から取水した水が灌漑用水として実際に利用された割合を示す。
(出所)中国政府公表資料をもとに大和総研作成
第11次5カ年計画で一定の成果を挙げたことも受けて、中国共産党・政府は2011年からの第12次5カ年計画でも引き続き環境目標の設定を決定している。2011年3月に公表された第12次5カ年計画の要綱では、前計画で設定された単位GDP当たりのエネルギー消費量、SO2とCODの削減に加えて、単位GDP当たりの二酸化炭素(CO2)排出量、アンモニア態窒素、窒素化合物(NOx)などが新たに環境目標に追加された(図表2)。
中国政府は第12次5カ年計画での「グリーン経済」、「低炭素型経済」への転換を目指しており、上記の環境汚染物質の削減を規制やインセンティブの付与など様々な手段を通じて実現する考えである。このうちCODとSO2、NOx、アンモニア性窒素の排出量については、2011年に前年比1.5%の削減を目指すことが1月14日まで開催された全国環境保全作業会議において周生賢環境保護部長(環境相に相当)により明らかにされた。 周環境保護部長は同会議で、下水処理場での排出削減や、農業分野での汚染源への対策、石炭火力発電所における脱硫・脱硝の強化などに重点的に取り組んでいくことを明らかにしている。
図表2:中国の第12次5カ年計画における環境分野の目標

(※1)は図表1を参照。
(※2)「目標」、「達成状況」での増減率は2010年比の値を示す。括弧内の「%」は%ポイントを意味する。
(※3)は図表1を参照。
(出所)中国政府公表資料をもとに大和総研作成
中国の中央政府がエネルギー・資源の節約や環境保護を引き続き堅持する姿勢を示す一方で、いくつかの地方政府とは足並みが揃っていないことが課題となっている。国家発展改革委員会の張平主任は、第12次5カ年計画期間におけるGDPの目標について、多くの地方政府がエネルギーや資源制約などを考慮せずに高い目標数値を掲げていると批判、このような地方政府に対してGDP成長目標を合理的な水準に引き下げることを求めた。背景には、現在でも経済成長を優先させる姿勢を示す地方政府をけん制することで、エネルギーや資源の節約、環境保護を推進する狙いがあると考えられる。
中国政府は資源・エネルギー問題への対応の一環として省エネと再生可能エネルギーの普及などのエネルギー資源の多様化を進めている。同時に、経済発展に伴う大気汚染や水質汚染は改善傾向にあるとはいえ現在も深刻な状況にある。そのため、第12次5カ年計画期間中も政府による企業への規制の強化や省エネ・環境保護関連ビジネスの振興が図られると考えられ、日系を含む外資系企業にも相応の対応が求められることになるであろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
SDGsの先を見据える
~企業・金融資本市場への含意~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
第6次男女共同参画基本計画にみる重要な展開と日本企業への示唆
男性の問題への注目、成果目標の引き上げ、AIリスクに対する懸念
2026年07月23日
-
気候関連開示を投資家は必要としているか?
米国気候関連開示規則廃止案を巡ってアカデミズムでも激しい論争
2026年07月14日
最新のレポート・コラム
-
ISSの議決権行使助言方針は今後どうなる?
国際基準の改定提案に現れた新テーマと日本への影響
2026年07月27日
-
企業価値担保権制度による融資機会の創出
無形資産を有する企業への資金供給と金融機関の課題
2026年07月27日
-
SDGsの先を見据える
~企業・金融資本市場への含意~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
地域金融力強化プランを踏まえた地銀業界再編の方向性
~再編による期待される相乗効果とは~『大和総研調査季報』2026年夏季号(Vol.63)掲載
2026年07月27日
-
第3号被保険者制度は「良い制度」とはいえないけれど
2026年07月27日
よく読まれているリサーチレポート
-
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
-
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
-
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
-
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中国経済見通し:泥沼化する不動産不況
低迷する内需。財政出動・さらなる金融緩和への期待が高まる
2026年06月22日
ナフサ問題がもたらす日本経済の不安要素
物価上昇は避けられず、供給不足が生じればさらなる経済下押しも
2026年06月15日
第229回日本経済予測(改訂版)
混迷する中東情勢、その先で問われる日本経済の構造転換①「持続的成長」の条件、②資産形成と成長の好循環、を検証
2026年06月08日
「成長投資ガイダンス」の解釈とその活用法
資本コストを上回る資本収益性の確保は価値創造(EP)の前提条件
2026年06月17日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日

