2011年02月01日
サマリー
1991年度から09年度の各年度において、銀行を含む上場企業全体を対象に保有株を分析したところ、直近の09年度は銀行との持ち合いを行っている企業の割合が減ったことが分かった。また、持ち合い株を保有していない企業数も増加し続けている。
また、上場企業が保有する持ち合い株の比率(対市場全体)は、金額ベースで 08年度の8.2%から09年度は6.5%へと低下、株数ベースでも同様に6.9%から4.9%へと低下している。05年度ごろから事業会社を中心に持ち合いの強化が見られたが、09年度は持ち合い解消が大きく進展したようである。
これを業態別に見ると、銀行、事業会社ともに持ち合い比率が低下しているが、銀行と事業会社間での持ち合い比率の低下の方が大きい。銀行を中心に持ち合い解消が進展したことがうかがえる。
持ち合い解消の要因としては、09年度の株式市場の大幅上昇が挙げられるが、有価証券報告書における「株式の保有状況」の開示義務と、IFRS(国際会計基準)の導入議論の影響も考えられる。
今後は、これまでにも増して株式持ち合いに関する株主や投資家の目は厳しくなる可能性が高く、持ち合いの維持や強化には、これまで以上に説明責任が求められよう。

大和総研調査本部が長年にわたる知識と経験の蓄積を結集し、的確な現状分析に基づき、将来展望を踏まえた政策提言を積極的に発信していくとのコンセプトのもと、2011年1月に創刊いたしました。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
「2030年に女性役員比率30%」に向けた課題
TOPIX500採用銘柄における現状、変化、業種別の傾向等の分析
2025年12月01日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
米国の資産運用会社に対する反トラスト法訴訟の行方
争点となるパッシブ運用を通じた水平的株式保有の影響
2025年10月31日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

