2014年03月10日
サマリー
◆日本が高度経済成長を謳歌していた1960年代初頭、大手企業を中心に長期経営計画の策定が一大ブームとなっていた。そして現在では、経営の基本的な指針として多くの企業が中期経営計画を策定している。こうしたことを踏まえ、本論では数回にわたり、長期経営計画ブームの以前から現在に至るまでの企業経営における指針や枠組みの変遷をたどることで、経営ビジョンや経営計画の意義を改めて考察したい。
◆日本企業の伝統的な意思決定方法に稟議制度がある。この稟議制度を経営の根幹に据えた「稟議的経営」は、事業規模の拡大に伴い姿を消し、1960年頃より経営の計画化が進むにつれ、マネジメントに重きを置いた経営へ徐々に移行していった。
◆この時期、経営理念も同様に変質している。かつての社是・社訓は、「誠実」「勤勉」といったいわば家訓や倫理規範のようなものであった。そこに本来の経営理念である経営者としての考え方や想いが包摂されるようになった。
◆その後普及する長期経営計画は、マネジメントに重きを置いた経営を支援すると同時に、未来を見据えた戦略経営を志向するツールとしての役割を担うはずであった。しかし、多くの企業では、戦略性に乏しい長期管理計画にとどまるケースが後を絶たなかった。一方、極めて戦略的な経営方針を打ち出し、その後の持続的な成長の基礎を築いた企業も少なからず存在した。
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