2018年07月25日
サマリー
◆持株会社化は経営戦略を実現するための組織戦略ツールとして有効であるが、持株会社体制への移行後に検討すべき新たな課題も生まれる。グループ企業間の壁や、グループ横断的な人材交流不足、買収先企業の異なる企業文化のグループへの適合、企業価値観の共有等の課題を抱えている企業は少なくない。
◆本稿では、持株会社化の課題解決ツールとなる「企業内大学」に焦点を当て、企業内大学の役割・効果等について考察し、企業内大学のグループ経営強化のための新たな活用モデルを探ってみた。具体的には、企業内大学の各社の事例から8つのテーマ・要素を抽出し分類を試み、持株会社におけるモデルケースを検討した。
◆企業内大学とは、人材育成を目的として企業内に設置された教育機関であり、従来型の知識・スキル獲得型の研修とは異なり、企業の求める人物像を明確に定め、「経営理念」や「企業の価値観」を学ばせ、戦略づくりを通してリーダーシップを磨くケースが多い。
◆企業内大学の役割が「経営理念」、「企業の価値観」の浸透であるという点に着目すると、複数の子会社を有し積極的なM&Aを検討するような持株会社のグループ経営には最適であるといえる。また、グループが一丸となって新たな取組みに挑戦することは、企業・組織の壁を超えた人間関係を構築するきっかけとなる。このような企業内大学を持つことで、企業の魅力は高まり人材を採用する際のイメージアップにもつながる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
持株会社体制の解消の意味を考える
近年の解消事例からグループ経営のあり方を見直す
2025年03月11日
-
経営統合のための持株会社化
~共同株式移転の事例から考える~
2025年02月14日
-
アフターコロナの企業戦略と持株会社化
~アフターコロナに持株会社化した企業の目的とは~
2024年07月12日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
よく読まれているコンサルティングレポート
-
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
-
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
-
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
-
サントリーホールディングスに見る持株会社体制における株式上場のあり方について
2013年04月17日
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
サントリーホールディングスに見る持株会社体制における株式上場のあり方について
2013年04月17日