2013年04月25日
東南アジアへの進出にあたり、中間管理職の確保が難しいことが大きな課題の1つである。現地人材紹介会社を通じた採用などが行われているが、そもそも絶対数が少なく、自社で育てるしかない、というのが実情である。大手企業や海外進出経験豊富な企業であれば、英語人材の採用など、幅も広がるのであろうが、初の海外進出を図る中小企業の場合、現地で経営にあたる日本人人材の確保から始めなければならないケースも多い。そんな中、現地で中間管理職を育成するにあたっては、日本語人材が求められることも多いようである。CLMV(※1)プラス タイ、インドネシアで、日本語人材がどの程度いるものだろうか。
少し古いデータであるが、国際交流基金が2009年に実施した「日本語教育機関調査・2009年 海外の日本語教育の現状」によると、上記6ヵ国では、インドネシアの日本語学習者数が70万人強と飛び抜けて多い。中等教育機関で日本語が選択科目に入っていることがその要因で、中等教育機関での学習者が圧倒的に多い。日本語を選択するということは、少なくとも日本に対する興味を持ってはいるのだろうが、中間管理職の確保の視点では、実態を表すものではないだろう。そこで、ここでは、自ら時間と資金を割いて日本語学習にあたっているであろう「学校教育以外」での学習者数を見ることとする(企業からの派遣も含まれているのだろうが)。

ベトナムが2万5,000人と最も多く、タイ1万人強、インドネシア1万人弱と続いている。日本企業の進出が多いところがやはり日本語学習者も多く、ベトナムについては、「チャイナ・プラス・ワン」「ポスト・チャイナ」として注目を集め、進出ラッシュが続いていたこともあり、日本語学習者数が多くなっていたと考えられる。ただ、韓国の勢いに押され、近年では日本語学習者の韓国語へのシフトが起こっているようである。
日本語人材の確保にあたっては、日本で勉強し、母国へ帰国する留学生にあたることも有効な手立ての1つであろう。
法務省が発表する「登録外国人統計表」によると、前記6ヵ国の日本への留学生数(2011年)の順位は、各国の学校教育以外での日本語学習者数と同じ順位となった。

とはいえ、留学生との接点は、通常はそうそうあるものでもないだろう。留学生が多い学校にあたってみるのが王道なのかもしれない。ちなみに、独立行政法人日本学生支援機構によると、海外からの留学生が多い大学は以下の通りである。ただし、国別の留学生数にはなっていないため、目的の国の留学生が多数いるのかどうかはここからは分からないが、参考にはなるだろう。

平成23年度外国人留学生在籍状況調査
(※1)C:カンボジア、L:ラオス、M:ミャンマー、V:ベトナムの4ヵ国
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