図表1. 世界各国の経済水準と所得格差(2010年)

図表1では、IMFとEuromonitorの統計から、2010年の世界70ヵ国について、経済水準と所得格差の関係を示している。経済水準では1人あたりGDPを、所得格差ではジニ係数(0から1までの値をとり、0に近いほど所得格差が小さいことを表す)を用いている。
図表2. アジア諸国の経済水準の発展と所得格差の変化(1990年→2010年)

中にはフィリピンやタイのように、経済水準が上昇する過程で、所得格差が縮小する例もあるが、これは両国が1990年時点の所得格差が他国に比べて非常に大きかったことも影響している。両国以外はおおむね右上方向に進み、特にベトナム、中国、インドでのシフト幅が大きい。これらの国では、外国資本の参入で雇用機会が増え、国民全体(平均)の所得水準は上昇しているが、同時に賃金格差が広がったことで、ストライキやデモが起きやすい状況になっていると考えられる。
IMFでは、2011年と比べた2016年の1人あたりGDPについて、中国、ベトナム、インドネシアが6割増、インド、タイが5割増、マレーシア、フィリピンが3割増と見込んでいる。過去の傾向から予想すれば、特に中国、ベトナム、インドネシア、インドでの所得格差が広がる可能性は高い。経営者は物価動向から賃金インフレを予想するだけでなく、所得格差の状況を考慮した労務リスクを念頭に入れ、事業戦略を検討する必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
地域で影響を増す外国人の社会増減
コロナ禍後の地域の人口動態
2025年07月24日
-
生成AI利活用に関する技術・サービスの動向
基盤モデルなどの最新動向、および全体像・自社事例を解説
2024年07月01日
-
コロナ禍を踏まえた人口動向
出生動向と若年女性人口の移動から見た地方圏人口の今後
2024年03月28日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
-
2026年5月全国消費者物価
エネルギーのマイナス幅縮小も、食料等の非耐久財の伸び率は縮小
2026年06月19日
-
「食料品の消費税率1%+中低所得勤労者への所得連動給付」案が軸に
先行導入の所得連動給付は年間給与所得対比+0.4%程度の可能性
2026年06月19日
-
中東向け乗用車輸出の激減は日本経済のリスクとなるか
国内販売と他地域向け輸出が生産下支えも、代替ルート開拓が課題
2026年06月19日
-
投資信託へのプライベートアセットの組入れ
制度設計上の論点と欧州・長期投資ファンド(ELTIF)からの示唆
2026年06月18日
-
AIガバナンスの深化とフィロソフィ経営
2026年06月19日
よく読まれているコンサルティングレポート
-
2026年6月株主総会に向けた論点整理
アクティビスト投資家等による株主提案数は過去最多
2026年06月04日
-
アクティビスト投資家の近時動向(2026年4月)
「変質」しつつあるアクティビスト投資家。「対話」から「交渉」に。
2026年04月09日
-
なぜ中国企業は中期経営計画を開示しないのか
—制度・市場・経営環境から読み解く、中国企業の情報開示メカニズム—
2026年05月22日
-
2026年6月株主総会の株主提案数(速報)
2026年6月株主総会の株主提案数は101社と過去2番目の多さ
2026年06月17日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2025年9月版)
「同意なき買収」時代における買収対応方針の効果と限界
2025年09月24日
2026年6月株主総会に向けた論点整理
アクティビスト投資家等による株主提案数は過去最多
2026年06月04日
アクティビスト投資家の近時動向(2026年4月)
「変質」しつつあるアクティビスト投資家。「対話」から「交渉」に。
2026年04月09日
なぜ中国企業は中期経営計画を開示しないのか
—制度・市場・経営環境から読み解く、中国企業の情報開示メカニズム—
2026年05月22日
2026年6月株主総会の株主提案数(速報)
2026年6月株主総会の株主提案数は101社と過去2番目の多さ
2026年06月17日
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2025年9月版)
「同意なき買収」時代における買収対応方針の効果と限界
2025年09月24日

