2007年02月26日
昨年から、湯沸かし器を巡る一酸化炭素中毒事故の話題が続いている。ついに、機器メーカーの業界団体である「日本ガス石油機器工業会」が経済産業省の要請を受け、86年以降の約20年間の重大製品事故の集計結果を公表した。それによると、一酸化炭素中毒による死亡事故は129件、199人であった。この数値はメーカーからの報告による集計であり、経済産業省がガス事業者から報告を受けている数値を大幅に下回っている。これは、ガス事業法ではガス事業者だけに事故の報告義務が課されており、メーカーが把握していないからだ。
「他社事例と自社のポジション」
仕事柄、リスクマネジメントや内部統制について、企業を訪問して意見交換をする機会が多い。良く問われるのが、「同業他社は、どう取組まれていますか?」「私共の会社は、業界においてはどのような位置づけでしょうか?」という質問である。個人レベルで考えたとき、他人との比較や自身の外部からの評価が気になるのはわからないでもない。
しかし、まず必要なことは、自身でも出来ることは何かを考え、実践してみることである。具体的には、法定開示情報や公開情報の収集である。
近年、企業の情報開示は充実しており、財務情報ばかりでなく、非財務情報の開示は進んでいる。上場企業のウェブサイトで投資家情報やIR情報を見ると、有価証券報告書や決算短信などの法定開示書類ばかりでなく、アニュアルレポートや環境報告書、CSR報告書、持続可能性報告書、さらに東証上場企業であれば、コーポレートガバナンス報告書などかなり豊富なディスクロージャー資料を入手できる。特に昨今関心の高い、コーポレートガバナンスの状況やコンプライアンス体制、リスク情報などは有価証券報告書から入手できる。例えば、その企業が事業運営上、どのような法令やリスクに配慮すべきと認識しているのか、それらの法令やリスクを順守し管理するためにどのようなコンプライアンス体制・リスク管理体制を整備し、倫理規定の有無やコンプライアンス活動の状況など、上述の開示資料から入手が可能である。
また、不幸にも、事故や不祥事が発生した企業がどのように、それらに対応しているのかを時系列で新聞記事や当該企業のウェブサイト・プレスリリースなどで確認しておくことも重要である。対応部門はどこか、発表の内容、被害者への対応、社内処分の概要など、いくつか比較すべき項目を挙げ、自社の事業運営に関連したような複数の事例を対象に星取表を作成して比較するのは、いざという時のための体制やルール作りの参考になる。
「他山の石」を実践しているか?
企業の事故や不祥事などがあると、「他山の石」という言葉が良く使われるが、その意味は、「他人のつまらない失敗であっても自分の成長に役立てることが出来ること」である。
さらにこの慣用句の由来を調べてみると「よその山から取れたつまらない石であっても、自分の持っている宝石をみがく石として使えるということ。」とある。
自社を磨くためにも、他社の失敗を真摯に受け止める必要があろう。
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