取締役会実効性評価の近時動向

企業価値の向上を図る真の実効性評価の在り方とは

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  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 内山 和紀

サマリー

◆2015年のコーポレートガバナンス・コード導入以降、日本の上場企業においても取締役会の実効性評価が実務として定着しつつあり、実施プロセスが標準化されている。手法としては、取締役へのアンケート及びインタビューが主流となっている一方で、実効性を高めるために部分的に第三者機関を活用している企業が増加している。また、実効性評価の対象を取締役会に限らず、監査機関や任意の委員会まで拡大して開示しているケースもあった。

◆TOPIX100企業のコーポレート・ガバナンス報告書によれば、実効性評価で抽出された最も多い課題は中長期的な戦略の議論のさらなる深化であり、取締役会の役割として本質的かつ中長期的な課題として次年度以降も継続して取り組む企業が増えつつあることがうかがえる。一方で運営にかかる課題に目を向けると、より実効性を担保するための具体的な施策を記載しているケースもあり、実務担当者が参考にすべき取り組みも多くある。

◆実効性評価が日本企業に導入されてから約10年になろうとしている。取締役会評価は、日本企業のガバナンスの質的向上に大きく寄与した。さらなる改善に向けては、一通りの項目をターゲットとする「チェックボックス方式」の確認に留めるべきではない。企業価値向上への貢献を意識し、取締役会実効性評価を活用したPDCAサイクルの高度化を進めることが必要であり、各社の実情により一層の工夫が求められる。

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