2024年06月28日
サマリー
◆2015年のコーポレートガバナンス・コード導入以降、日本の上場企業においても取締役会の実効性評価が実務として定着しつつあり、実施プロセスが標準化されている。手法としては、取締役へのアンケート及びインタビューが主流となっている一方で、実効性を高めるために部分的に第三者機関を活用している企業が増加している。また、実効性評価の対象を取締役会に限らず、監査機関や任意の委員会まで拡大して開示しているケースもあった。
◆TOPIX100企業のコーポレート・ガバナンス報告書によれば、実効性評価で抽出された最も多い課題は中長期的な戦略の議論のさらなる深化であり、取締役会の役割として本質的かつ中長期的な課題として次年度以降も継続して取り組む企業が増えつつあることがうかがえる。一方で運営にかかる課題に目を向けると、より実効性を担保するための具体的な施策を記載しているケースもあり、実務担当者が参考にすべき取り組みも多くある。
◆実効性評価が日本企業に導入されてから約10年になろうとしている。取締役会評価は、日本企業のガバナンスの質的向上に大きく寄与した。さらなる改善に向けては、一通りの項目をターゲットとする「チェックボックス方式」の確認に留めるべきではない。企業価値向上への貢献を意識し、取締役会実効性評価を活用したPDCAサイクルの高度化を進めることが必要であり、各社の実情により一層の工夫が求められる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
-
2024年6月株主総会シーズンの総括と示唆
機関投資家の議決権行使の同質化により議案賛成率は2極化
2024年10月09日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
関連のサービス
最新のレポート・コラム
よく読まれているコンサルティングレポート
-
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
-
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
-
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
-
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
-
サントリーホールディングスに見る持株会社体制における株式上場のあり方について
2013年04月17日
アクティビスト投資家動向(2024年総括と2025年への示唆)
「弱肉強食化」する株式市場に対し、上場企業はどう向き合うか
2025年02月10日
退職給付会計における割引率の設定に関する実務対応について
~「重要性の判断」及び「期末における割引率の補正」における各アプローチの特徴~
2013年01月23日
中国の「上に政策あり、下に対策あり」現象をどう見るべきか
2010年11月01日
買収対応方針(買収防衛策)の近時動向(2024年9月版)
ステルス買収者とどう向き合うかが今後の課題
2024年09月13日
サントリーホールディングスに見る持株会社体制における株式上場のあり方について
2013年04月17日