2021年6月株主総会に向けた論点整理

“デジタル化”が意識される株主総会

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  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 吉川 英徳

サマリー

◆2021年6月株主総会の主要な論点としては、デジタル化等の運営実務の進化、議決権行使基準等の厳格化及びアクティビスト投資家等の動向、東証市場再編やコーポレートガバナンス・コードを見据えた上場企業側の対応、等が挙げられる。

◆昨年以降、バーチャル株主総会へ取り組む企業数は増加しており、2021年6月株主総会においては3月決算企業の14%(※1)がバーチャル株主総会を実施する予定である。一部企業は定款変更等の実施によりバーチャルオンリーの株主総会の開催に向けた準備を進めている。

◆議決権行使助言会社の助言方針や機関投資家の議決権行使基準の厳格化が進んでいる。独立社外取締役の確保(3分の1以上)に加え、政策保有株式に関する定量的な保有基準(純資産の10%等)や社外役員の独立性に関する在任期間(12年未満)等が追加されている。また、一部の機関投資家はESGに関する基準(女性役員の選任やTCFD対応等)を議決権行使基準に明記している。

◆アクティビスト投資家の活動は引き続き高水準で活動しており、2021年6月株主総会シーズン(※2)においても株主提案やTOB(公開買い付け)の実施が相次いでいる。今後、上場会社においては政策保有株式の縮減に伴い安定株主比率が減少する一方で、機関投資家(議決権行使助言会社)においては更なる議決権行使基準等の厳格化が見込まれる。上場企業として安定的な経営基盤を確立するためには、資本市場との対話を通じた“信頼関係の確立”が重要となっており、株主総会は“経営陣と株主が信頼関係を醸成する場”としての役割が従来以上に意識されると考える。

(※2)2020年7月~2021年6月

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