2020年6月株主総会に向けた論点整理

新型コロナ禍に対する株主総会の在り方と今後への示唆

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  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 吉川 英徳

サマリー

◆2020年6月株主総会における新型コロナ禍対応の論点としては、(1)決算·監査対応の遅れ等に伴う株主総会の開催時期の変更、(2)感染拡大防止の観点から株主総会における参加人数の最小化、(3)運営時間の短縮化、(4)議決権行使助言会社等の特例措置、がある。

◆3月以降の株主総会においては既に、株主総会の7月への延期や継続会の開催、ハイブリッド出席型株主総会の実施、株主総会参加者を自社役員だけに限定する企業や、事前登録・抽選制を実施する企業が出てきており、6月株主総会においても例年とは大きく異なる株主総会運営になると見られる。

◆一方で、新型コロナ禍対応以外の論点においては、引き続き、議決権行使助言会社や主要機関投資家が議決権行使基準を厳格化しており、またアクティビスト投資家の活動も活発である。上場企業においても独立社外取締役比率で1/3の確保などコーポレートガバナンス体制の見直しの対応が進んでおり、ポストコロナ時代においても引き続きコーポレートガバナンス強化の流れは続くと考えられる。

◆今回の新型コロナ禍対応は、日本における株主総会の在り方について、見直す機会になると考える。従来、日本において株主総会の運営実務は極めて保守的に運用されてきた経緯がある。今回の新型コロナ禍を契機に、ハイブリッド型バーチャル株主総会や3月期決算企業の7月株主総会開催などを導入する企業も増加している。ポストコロナ時代を見据えた「株主総会の進化」が期待される。

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