サマリー
◆2018年4-6月期の実質GDP成長率(二次速報)は前期比年率+3.0%(前期比+0.7%)となった。一次速報(前期比年率+1.9%、前期比+0.5%)から大幅に上方修正されている。もっとも、法人企業統計の結果を受けた民間企業設備の大幅な上方修正が今回の改定の主因であり、サプライズは少ない。市場コンセンサスは前期比年率+2.7%、前期比+0.7%であった。
◆4-6月期の成長率は極めて高かったものの、日本独自の要因である「季節調整の際に閏年調整を行っていない」事情から、1-3月期は弱く、4-6月期は強く数値が出た可能性も否定できない。そうした事情を差し引くべく、2018年1-6月期の2017年7-12月期対比での成長率を確認すると、+0.3%(年率で+0.5%)となっている。これは日本経済の潜在成長率を若干下回る水準であり、日本経済は現時点で踊り場局面にあるという弊社従来の判断に変化はない。
◆日本経済は、2017年度に揃っていた好材料が剥落する格好で、踊り場局面に位置している。もっとも、現時点では潜在成長率を大幅に下回る成長率が続くとか、景気後退に突入する懸念は少ない。雇用者報酬は上向きのトレンドを維持している。人手不足、稼働率の回復、潤沢な企業資金、低金利などを背景とした旺盛な設備投資需要も維持される可能性が高い。外需は欧州・中国を中心として一進一退が続いているが、少なくとも米国においては減税効果が顕在化している。通商摩擦問題の激化や原油価格高騰の負の効果や、2019年10月に予定されている消費増税の影響には細心の注意が必要ではあるが、当面の日本経済は潜在成長率前後の緩やかな成長が続くだろう。
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