2017年10月消費統計

特殊要因による悪影響を割り引いても、個人消費には弱さが見られる

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2017年12月01日

  • 経済調査部 研究員 廣野 洋太
  • 小林 俊介

サマリー

◆2017年10月の家計調査では、台風や自動車メーカーの無資格検査問題などの特殊要因が影響し、実質消費支出が前月を下回った。供給側統計の商業動態統計においても、同様の理由により、「織物・衣服・身の回り品小売業」、「自動車小売業」などが減少している。


◆2017年10月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.0%と3ヶ月ぶりに減少した。また、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)についても同▲1.8%と2ヶ月ぶりに減少している。実質消費支出は、2017年6月頃からほぼ横ばいの推移を続けていたが、足下では弱含んでいる。費目別に見ると「交通・通信」(同▲6.8%)、「住居」(同▲6.8%)、「衣服及び履物」(同▲0.5%)が全体を押し下げた一方、「教育」(同+2.4%)は押し上げに寄与した。


◆2017年10月の商業動態統計を見ると、名目小売販売額は横ばいであった。名目小売販売額は、2015年終盤から2016年頭にかけての低迷期と比較すると高い水準を維持しているが、2017年に入ってからは横ばい圏での推移が続いている。業種別に見ると、「織物・衣服・身の回り品小売業」(前月比▲3.1%)、「自動車小売業」(同▲2.8%)が全体を押し下げた。一方、全体の押し上げ要因となったのは「燃料小売業」(同+3.0%)である。同業種の売上増が数量ではなく価格によるものであることに鑑みれば、名目値で横ばいだった全体の小売販売額は、実質ベースで見れば減少したとみられる。

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