サマリー
◆2017年10月の家計調査では、台風や自動車メーカーの無資格検査問題などの特殊要因が影響し、実質消費支出が前月を下回った。供給側統計の商業動態統計においても、同様の理由により、「織物・衣服・身の回り品小売業」、「自動車小売業」などが減少している。
◆2017年10月の家計調査によると、実質消費支出は季節調整済み前月比▲2.0%と3ヶ月ぶりに減少した。また、振れの大きい住居や自動車などを除いた実質消費支出(除く住居等)についても同▲1.8%と2ヶ月ぶりに減少している。実質消費支出は、2017年6月頃からほぼ横ばいの推移を続けていたが、足下では弱含んでいる。費目別に見ると「交通・通信」(同▲6.8%)、「住居」(同▲6.8%)、「衣服及び履物」(同▲0.5%)が全体を押し下げた一方、「教育」(同+2.4%)は押し上げに寄与した。
◆2017年10月の商業動態統計を見ると、名目小売販売額は横ばいであった。名目小売販売額は、2015年終盤から2016年頭にかけての低迷期と比較すると高い水準を維持しているが、2017年に入ってからは横ばい圏での推移が続いている。業種別に見ると、「織物・衣服・身の回り品小売業」(前月比▲3.1%)、「自動車小売業」(同▲2.8%)が全体を押し下げた。一方、全体の押し上げ要因となったのは「燃料小売業」(同+3.0%)である。同業種の売上増が数量ではなく価格によるものであることに鑑みれば、名目値で横ばいだった全体の小売販売額は、実質ベースで見れば減少したとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
-
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
-
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
-
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
-
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日
日本経済見通し:2024年2月
2025年度にかけて1%前後のプラス成長と2%インフレを見込む
2024年02月22日
ビットコイン現物ETF、日本で組成可能か?
米SEC承認を受けて、日本で導入することの法制度上の是非を考察
2024年02月13日
第220回日本経済予測(改訂版)
賃上げの持続力と金融政策正常化の行方①自然利子率の引き上げ、②投資と実質賃金の好循環、を検証
2024年03月11日
日本経済見通し:2024年3月
24年の春闘賃上げ率5%超えを受け、日銀はマイナス金利政策を解除
2024年03月22日
2024年の日本経済見通し
緩やかな景気回復と金融政策の転換を見込むも海外経済リスクに注意
2023年12月21日