3月日銀短観

企業の業況感は非製造業で改善、先行きは慎重

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2015年04月01日

サマリー

◆日銀短観(2015年3月調査)は、総じてみると、これまで足踏み状態にあった企業の業況感が改善に転じていることを確認させる内容であった。この背景として、2014年4月の消費税引き上げ後に低迷していた個人消費が緩やかな増加基調に転じたことなどが挙げられる。先行きについては、大企業と中小企業のいずれも悪化を見込んでおり、企業は今後の経営環境について引き続き慎重にみているようだ。


◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+12%pt、新サンプルベース、以下同じ)から横ばいとなり、市場コンセンサス(+14%pt)を下回った。米国経済の回復や、2014年10月末の日本銀行の追加金融緩和後に円安が進んだことなどを背景に輸出が増加傾向にあり、それが大企業製造業の業況判断を押し上げると期待されたが、その効果は限定的なものに留まっている。


◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+19%ptと前回調査(+17%pt)から改善し、市場コンセンサス(+17%pt)も上回った。業種別に見ると、2014年4月の消費税引き上げ後に低迷していた個人消費が緩やかな増加基調に転じたことや、インバウンド消費の増加を背景に、「小売」と「対個人サービス」の改善が注目される。


◆大企業全産業の2015年度の売上高計画は前年度比+0.7%、経常利益計画は前年度比+0.6%となり、小幅ながらも増収経常増益が見込まれる。2014年3月調査の経常利益計画では、消費税増税の影響などを背景に減益計画が示されたものの、今回は景気回復の動きを反映して増益計画になったと考えられる。


◆大企業全産業の2015年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年度比▲1.2%と減少に転じる計画となり、市場コンセンサス(同+0.5%)も下回った。ただし、3月調査において、企業が翌年度の設備投資計画を控えめに回答するという「統計上のクセ」があることを踏まえると、今回の設備投資計画は例年並みであり、必ずしもネガティブに捉える必要はない。

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