地域の住民などが共同に収益することができる土地などを指し、日本では入会地などについて、共同で収益する権利が認められている。しかし、日本の民法では、「共有の性質を有する入会権(第263条)」や「共有の性質を有しない入会権(第294条)」について規定を置いているものの、いずれも「各地方の慣習」に従うとされており、入会地についての法の考え方を読み取ることは難しい。
共同で利用されることが多い河川については、河川法が明確に「公共用物」であることを定めており、河川の流水は私権の目的となることができないとしている。しかし、地下水については、民法が土地の所有権はその土地の上下に及ぶとしているため、土地の所有権に付随するとみられることが多い。
土地や水などの資源が共有されている場合、過大な利用が問題となることがあり、牧草地の許容量を超えて羊が放牧されると、牧草地がやがて荒廃してしまう例などから、「コモンズの悲劇」と呼ばれている。戦後復興期や高度成長期に、地下水が大量に揚水されたことにより、日本の大都市圏で地盤沈下が発生したことなどは、これに類する例といえよう。一方、知的財産などの私有化が進むことにより、研究成果や科学技術などの利用が妨げられる傾向について、「アンチコモンズの悲劇」という言葉も生まれている。
土地や河川水・地下水などの地域のコモンズだけでなく、世界全体で共有する環境等については、グローバル・コモンズという考え方も広がっている。「人間環境宣言」や「環境国際行動計画」を実施に移すため、国連総会決議に基づいてUNEP(国連環境計画:United Nations Environment Programme )(※1)が設立されており、日本は創設以来管理理事国になっている。
(2013年1月7日掲載)
(2013年7月31日更新)
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