平成15年に成立した「社会資本整備重点計画法」は、「社会資本整備事業を重点的、効果的かつ効率的に推進するため、社会資本整備重点計画の策定等の措置を講ずることにより、交通の安全の確保とその円滑化、経済基盤の強化、生活環境の保全、都市環境の改善及び国土の保全と開発を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定と向上に寄与することを目的」としている(第1条)。「社会資本整備重点計画」とは、社会資本整備事業に関する計画とされており、計画の対象となる社会資本整備事業としては、道路、鉄道、空港、港湾や、河川、下水道などの14項目が挙げられている(第2条)。
この法律に基づく「社会資本整備重点計画」は、通常5年間の計画として策定されており、第1次計画(平成15年度~19年度)に続いて、第2次計画(平成20年度~24年度)が進められてきた。しかし、これらに続く第3次計画については、人口減少、少子・高齢化社会の到来や災害リスクの増大・顕在化等を踏まえ、通常の期間を1年間前倒して、平成24年度から28年度までの計画として策定されており、平成24年8月31日に閣議決定されている(※1)。
第3次計画の策定にあたっては、ソフトも含めた事業・施策間の連携の徹底、中長期的な社会資本整備のあるべき姿の提示、「選択と集中」の基準の提示、定量的に測定するための指標の見直しなどが行われている。第3次計画では社会資本整備のあるべき姿を俯瞰する三つの視点が示されており、それらの視点から設定された政策課題を解決するための事業・施策等が、18のプログラムとして整理されている(表1)。
また、厳しい財政事情の中、選択と集中の基準を踏まえた重点目標として、以下の4項目が示されている。
重点目標1:大規模又は広域的な災害リスクを低減させる
重点目標2:我が国産業・経済の基盤や国際競争力を強化する
重点目標3:持続可能で活力ある国土・地域づくりを実現する
重点目標4:社会資本の適確な維持管理・更新を行う
交通や水関連のインフラなどには、高度成長期の急速な経済拡大に伴って整備が進められたものも多く、これらの老朽化に伴う更新が課題となっている。限られた財源の中で、人口減少の影響や災害リスクを考慮しながら、既存のインフラを有効に活用していくためには、社会資本整備にも戦略性が求められている。
表1
出所)国土交通省資料「新たな社会資本整備重点計画の概要と見直しのポイント」より大和総研作成
(※1)報道発表資料「『社会資本整備重点計画』の閣議決定について」(平成24年8月31日)国土交通省
(2012年11月30日掲載)
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