2023年01月06日
サマリー
◆近年の持株会社化ペースは若干鈍化してはいるものの、コンサルティングの現場では、上場会社に限らず非上場会社も含め持株会社へ移行する企業が増えているという実感があり、未だ多くの企業が関心を寄せている検討テーマの一つである。
◆本稿では2022年に持株会社体制へ移行した上場会社33社を対象に、企業サイズ(時価総額)ごとにカテゴライズしたうえで、それぞれの企業がどのような目的で持株会社化を実施したのかについて考察を行ってみたい。
◆企業のサイズ(時価総額)によりいくつか違いはみられたものの、持株会社化の目的は、一般的なメリットとして挙げられる「ガバナンス強化」「意思決定のスピード化」「新規事業の創出」「M&Aの推進」「グループシナジーの創出」などが主であることが確認できた。また、昨今話題の「サステナビリティ経営」についても、持株会社化により事業を分社化し、KPI の設定を進める等、持株会社化の目的として挙げる企業がみられた。
◆持株会社体制はあくまでも組織形態の一つであって、持株会社化すればすぐに目的を達成できるというわけではない。大事なのはその組織を有効に機能させることであって、そのための仕組みづくりである。持株会社化することがゴールではなく、仏つくって魂入れずとならないよう、それぞれの企業が自社に合う運用(やり方)を模索し、継続的な見直しや改善を進めていくことが肝要である。
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