2011年11月15日
(要点)
- 中国の対外直接投資の急増に関し、中国は、もっぱらそれが投資先途上国の経済発展に貢献していること、および国際経済ガバナンスの改善につながることを強調する一方、米国等は、近年、特に資源獲得を目的としたM&Aが急増していることに着目して、安全保障上の懸念を表明している。
- 中国自身、投資先での摩擦回避のため、「現地化」の重要性を認識してきてはおり、こうした面での動きが強まれば、経済面で関係者双方が利益を享受でき、政治・安全保障面での対立・懸念払拭の効果が期待できる。
- 中国の対外直接投資の目的として、資源獲得が注目されているが、技術導入、市場開拓等、他国で一般的に見られる目的も無視し得ない。
- 援助外交同様、対外直接投資についても、中国は「内政不干渉、主権尊重」原則を掲げてきたが、近年の国際情勢の下で、この原則がどうなっていくのか要注意である。中国の対外直接投資をめぐっての国際的な議論は、それによっても影響を受けてくることになろう。
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