2011年09月07日
(要点)
- 中国では昨年来、各地で最低賃金が大幅に見直されるなど労働コストが上昇してきており、進出外資企業にとって、以前のように、安価な労働力だけを求めて中国に進出するという時代ではなくなってきている。
- 労働コストの上昇には、工業化・経済発展に伴うマクロ的な要因、高齢化の進展による人口要因、および成長モデルの転換を目指す政策要因の3つの要因が指摘でき、コスト上昇は今後加速することが予想される。
- 進出外資企業の対応としては、本国への引き上げ、他のアジア地域への移転、中国内陸部への移転、沿海部に留まりながらコスト削減に取り組むなどの選択肢があり得る。
- 一般的に、企業の海外進出は、賃金コストのみならず、労働力の質、インフラ整備の状況、法規制の安定性、地政学的リスクなど様々な要因によって左右される。個々の企業が今後どういった選択肢を採るかを考える際、たとえば、具体的にどのような労働力を求めているのか、労働集約の程度、サプライチェーンの状況はどうか、さらには中国の外資導入政策がどのような方向に向かっているのか等を見極めていくことが鍵となる。
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