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経営戦略の羅針盤 第22回 2007年の事故・不祥事に思う

経営コンサルティング本部 主席コンサルタント 大村 岳雄

今年もあとわずかとなった。新聞でもテレビでも、この一年を振り返る特集が多い。


コラムもお蔭さまで1周年を迎えたが、リスクマネジメントの観点から今年発生した事故・不祥事を振り返り、学ぶべき点を考えてみたい。


主な事故や不祥事は下表の通りだが、事故においては死亡につながる事故ばかりでなく、システム障害なども目立ち、かつ影響の大きな事例が多かった。不祥事では食品業界における偽装表示・虚偽表示が多かった。また、年後半には資材メーカーにおける認証データの不正取得・強度の改ざんが過去から行われてきたとういう事件も目立った。

表:2007年に発生した主な事故や不祥事

事象 事例 時期
事故 遊園地でジェットコースター事故(1名死亡、19名重軽傷) 5月
通信大手東西会社のIP電話サービスが不通に(最大で318万回線に影響) 5月
航空会社の国内線予約搭乗手続き・荷物管理を担うチェックイン・システムがダウン(7万人以上が足止め) 5月
都内温泉施設で爆発事故(女性従業員3名死亡) 6月
海外航空機の那覇空港での炎上 8月
首都圏662駅の4000台を超える自動改札機にトラブル発生(延べ260万人に影響) 10月
不祥事 洋菓子メーカーの消費期限切れ原料使用問題 1月
食肉メーカーによる偽装牛ミンチ事件 6月
地方菓子メーカーの虚偽表示 10月
建材メーカーの建材耐火性能の虚偽報告 10月
老舗和菓子メーカーの製造日虚偽表示 11月
大手鉄管メーカーの強度改ざん 11月

(出典)各種報道より大和総研作成


それぞれの事例からは、日頃の点検や対策に留意をするべきだった、ブラックスボックス化する巨大システムを俯瞰できるようにしておくべきだった、外部監視の目をいれておくべきだったなどさまざまな指摘があろうが、共通していえるのは「他山の石を実践していたのか」である。


ここ数年、企業活動を巡る事故や不祥事は後を絶たない。


事故や不祥事についての報道を目にしたとき、同様のことが自社で発生する可能性はないのか、自社のリスク管理の状況や対策の取組みはどうかなどについて確認や検証をしているだろうか。それらを生産現場、営業現場に問いあわせると、「特に問題ありません。」との回答が返ってくることが予想される。


この時に、何を理由に問題がないのか、(1)定期点検・定期監査などの結果なのか、(2)過去1ヶ月、半年、1年を振り返ったときに事故の発生がなかったのか、もしくはヒヤリとすることはなかったのか、(3)十分な予防措置や対策が講じられているのか、確認してみる必要があると思う。


「公表される全ての事故や不祥事をみて自社の取組みを見直すべきだ」というつもりはない。社内で行われている自主監査や定例の業務監査に甘んずることなく、リスク要因の見直し、対策の再評価(マニュアルの陳腐化、人的配置の不足はないか、緊急時対応の訓練未実施)、対策のための予算措置、など確認と検証をしてはどうだろうか。


安全と安心の確保を、企業活動でも実践されることを祈念する。


良い年を迎えられることを願って、今年の締めくくりとしたい。

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