RoHS指令(欧州議会・理事会指令2002/95/EC)(※1)とは、EU(欧州連合)における電気電子機器への特定有害物質の使用制限に関する指令で、“Restriction of Hazardous Substances”(危険物質に関する制限)の頭文字からRoHS指令と呼ばれている。電気電子機器のリサイクルを容易にすることや、廃棄物として埋め立てや焼却する際などに人の健康や環境に影響を与えないことを目的として、2003年2月にEU官報に告示され、2006年7月に施行された。同時期に告示された電気電子機器廃棄物の回収とリサイクルに関する指令であるWEEE指令と密接に関係している。2011年7月に対象機器の見直しなどが行われた改正RoHS指令(欧州議会・理事会指令2011/65/EU)(※2)が告示され、2013年1月からはRoHS指令は改正RoHS指令に置き換わった。改正RoHS指令では、下記の電気電子機器を対象として、特定有害物質の最大許容濃度が定められている。原則として、この最大許容濃度を超える特定有害物質を含む製品は、EUでは上市(販売)することはできない。また、上市後に不適正があればリコールが要求される。
[対象となる電気電子機器]
定格電圧が交流1,000ボルト以下、または直流1,500ボルト以下の機器で、11のカテゴリーに分類されている。
- 大型家庭用電気製品(冷蔵庫、洗濯機、エアコンなど)
- 小型家庭用電気製品(電気掃除機、時計、シェーバーなど)
- IT・電気通信機器(パソコン、プリンター、携帯電話など)
- 民生用機器(ビデオカメラ、テレビ、楽器など)
- 照明装置(ランプ類、照明制御装置などで、フィラメント電球は除く)
- 電気・電子工具(電気ドリル、ミシンなど)
- 玩具、レジャー及びスポーツ機器(ビデオゲーム機など)
- 医療用機器
- 監視及び制御機器
- 自動販売機類(飲用販売機、現金引出機など)
- その他の電気・電子機器
[特定有害物質の最大許容濃度]
鉛、水銀、カドミウム、6価クロム、PBB(ポリ臭化ビフェニル)、PBDE(ポリ臭化ジフェニルエーテル)の6物質が最大許容濃度(カドミウムが0.01wt%(※3) 、他の物質は0.1wt%)を超えて含有された電気・電子機器はEU加盟国内で上市(販売)できない。最大許容濃度の分母は均質物質で、「全体的に一様な組成」で「機械的に分離できる最小単位」とされている。例えば、半導体パッケージではプラスチック成型材料、リードフレーム合金、金ボンディングワイヤー、はんだなどの各部材が均質物質になるため、これら部材のそれぞれで特定有害物質の含有量を計算することになる。
改正RoHS指令では製品がEU指令の必須要求事項に適合していること示すCEマーキングの貼付が義務化された。製品の製造者には、改正RoHS指令への適合性評価の実施、適合性宣言書や技術文書の作成と保管なども求められる。
[参考資料]
経済産業省「RoHS指令(有害物質使用制限指令)について」(平成23年4月)
日本貿易振興機構(ジェトロ)「RoHS(特定有害物質使用制限)指令の概要:EU」
(※1)“DIRECTIVE 2002/95/EC OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 27 January 2003 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment” Official Journal of the European Union(13.2.2003)
(※2)“DIRECTIVE 2011/65/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 8 June 2011 on the restriction of the use of certain hazardous substances in electrical and electronic equipment (recast)” Official Journal of the European Union(1.7.2011)
(※3)wt%とは質量パーセント濃度のことで、ここでは当該製品の質量に対する特定有害物質の質量の割合を示している。
(2013年8月9日掲載)
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
-
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
-
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
-
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
-
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日
26年度最低賃金改定のポイント①
高市政権はより緩慢な引上げを容認/改定内容への説明責任が焦点
2026年07月09日
中国経済見通し:成長率目標に早くも黄信号
12.5%追加関税の影響は限定的だが、内需が急減速
2026年07月28日
令和9年度介護報酬改定に向けた注目点
改革工程に掲げられた重要論点の具体化が求められる
2026年06月29日
26年度最低賃金改定のポイント②
全国加重平均は1,160円台(4%前後の引き上げ)に着地か
2026年07月21日
骨太方針のポイント① ~危機管理投資・成長投資で高成長を実現できるか
米国を上回る生産性向上ペースが必要で成長戦略の進捗管理も課題
2026年07月13日

