2019年07月10日
サマリー
◆近年、持株会社がIPO を実施する事例が散見されており、今後も持株会社によるIPO は増加すると考える。そこで、持株会社体制への移行とIPO の両方を検討している非上場会社にとって、IPO を見据えて持株会社体制へ移行する場合に考えられる利点と留意点を検討した。
◆IPO に先立つ持株会社化は、上場後に比べて経営者の意向を踏まえた組織体制を構築しやすいこと、経営スピードが要求される上場会社において上場時点から効率化された経営体制を整えられること、IPO を見据えることで従業員がより強い目的意識を持つことができることから、経営者・企業・従業員のいずれの立場からも利点がある。
◆持株会社化とIPO 準備が一連の計画として実施される場合は、計画における時間、人員の制約が大きいこと、通常の持株会社化と比べてIPO 時の論点を前倒しで検討する必要があることに留意する必要がある。
◆持株会社体制への移行とIPO の両方を検討している非上場会社にとって、どちらを先に実施するかは経営判断であり、正解はない。しかし、上場後の企業経営への影響に着目すると、非上場会社が持株会社体制への移行をIPO 準備の前段階として位置付け実行することは、合理的な選択である。
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