経営戦略の羅針盤 経営戦略の羅針盤 第26回 -豪雨にも備えよ-

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「今夕は、雨模様が予想され、1時間に20ミリ程度の強い雨が降るでしょう。」(天気予報)と聞いて、どう感じるだろうか。


ここ数年の地震被害は記憶に新しいが、最近無視できなくなってきたのが豪雨である。一部報道では、「ゲリラ雨」などと表現されたが、正式には「局地的な大雨」(気象庁)である。今年8月26~31日にかけて各地に大きな被害をもたらした大雨は、「平成20年8月末豪雨」と命名された。過去5年の6-8月期の気象状況を振り返ってみると、「平成18年7月豪雨」「平成16年7月にも新潟、福島、福井豪雨」と、ほぼ2年に一度、豪雨が発生している。


豪雨による被害は、土砂災害と河川の増水による浸水がその代表例であり、都心部でも河川の増水で商業施設や住宅が浸水したというのは珍しくない。企業にとっては、営業所・工場・倉庫などが被害にあう可能性がある。対策はどうすべきか。気象情報への理解不足を解消するだけでも、被害を減らすこと(減災)ができるのではないか。


テレビやラジオ等の天気予報に注意するのが第一歩だが、雨量の定義を御存知だろうか。 気象庁によると、20-30ミリでも既に「強い雨」であり、災害発生状況は「側溝や下水・小さな川があふれ、小規模のがけ崩れが始まる」である。30ミリ以上で「危険地帯では避難の準備が必要」、50ミリ以上では「土石流が起こりやすい」と定義されている。(表1参照) 雨量の数字を軽視してはいけない。


表1.雨の強さと降り方

1時間雨量(mm) 予報用語 人の受けるイメージ 災害発生状況
10以上 - 20未満 やや強い雨 ザーザーと降る この程度の雨でも長く続く時は注意が必要
20以上 - 30未満 強い雨 どしゃ降り 側溝や下水、小さな川があふれ、小規模の崖崩れが始まる
30以上 - 50未満 激しい雨 バケツをひっくり返したように降る 山崩れ・崖崩れが起きやすくなり危険地帯では避難の準備が必要、都市では下水管から雨水があふれる
50以上 - 80未満 非常に激しい雨 滝のように降る 都市部では地下室や地下街に雨水が流れ込む場合がある、マンホールから水が噴出する、土石流が起こりやすい
80以上 猛烈な雨 息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる 雨による大規模な災害の発生するおそれが強く、厳重な警戒が必要

(出典)気象庁、平成12年8月作成、平成14年1月一部改正


都市の豪雨による水害では、最悪の場合、地下室で「水圧でドアが開かない」「停電で真っ暗になる」などが想定される。高い階に避難する必要があるが、エレベーターでは閉じ込められる危険性があるので、階段を使うことに留意したい。 外出時に浸水に遭遇した場合でも、やむをえず歩ける水深は、男性で70センチ、女性で50センチといわれ、腰までの水深は危険であるため、高所に避難すべきとされている。 一方、河川の増水も初期段階なら、土のうがなくともプランターやダンボールなどを連結させてビニールシートで覆うだけでも簡易の防水塀が出来る。


都市近郊の新興住宅地域では、土砂災害に留意する必要がある。土砂災害といっても、「がけ崩れ」、「地すべり」、「土石流」などがある。このうち、「がけ崩れ」は突発的であり、「土石流」は破壊力が強いため、いずれも被害が大きい。急斜面の脇にある道路や切り出した山を背にする建物は、特に注意が必要である。


これら、水害などの防災情報は、気象庁や自治体のWEBサイトで入手が可能である。 これからは、地震や台風だけでなく、豪雨についても備える必要があるのではないか。

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